2017 Fiscal Year Research-status Report
Science of zero oscillator strength for circularly polarized luminescence and their application for light emitting diodes
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17K19152
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
平田 修造 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (20552227)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 熱活性化遅延蛍光 / 円偏光発光 / 振動子強度 / 凝集誘起発光 / 有機EL / ディスプレイ / 反射防止膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では振動子強度がゼロ近傍のキラルドナー(D)アクセプター(A)分子のニート薄膜を用いることで大きな発光量子収率と大きな円偏光発光の2色性因子を有する材料の構築を目指している。 量子化学計算を用いて、振動子強度が大きいキラルドナー(D)-アクセプター(A)分子(Type 1)を設計し合成を行った。この分子はドープ薄膜では大きな発光量子収率を示したが、ニート薄膜では蛍光量子収率が10%以下にまで著しく低下した。このニート薄膜における蛍光量子収率の低下の理由は、励起子相互作用により蛍光速度定数が小さくなっていることに由来していることが確認された。 次に、量子化学計算により最低一重項励起状態でHOMOとLUMOが大きく分離され、振動子強度が著しく小さいキラルD-A分子(Type 2)を設計し合成した。Type 2の分子からは著しく小さい蛍光速度定数が確認され、実際に振動子強度が著しく小さいことが確認された。振動子強度は小さいが、Type 2のD-A分子は固体ドープ薄膜およびニート薄膜において50%を超える蛍光量子収率を示し、その大部分は熱活性化遅延蛍光によるものであることが確認された。このType 2のD-A分子に関してのニート膜での大きな発光量子収率は、ニート薄膜時も励起子相互作用が小さいため、蛍光速度定数の低下しないことに依存することが確認された。このキラルD-A分子は溶液やドープ薄膜中においては円偏光発光の2色性因子が著しく小さかったが、スプレー法により作成したニート薄膜からは2色性因子が10-2を大きく超える円偏光遅延蛍光が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
振動子強度が小さいキラルD-A分子のナノ薄膜を用いることで、発光量子収率50%およびg値が0.01以上の薄膜の作成に成功している。また、振動子強度が小さいキラルD-A分子のナノ結晶薄膜がニート膜にも関わらず大きな発光量子収率を示す要因が、振動子強度が小さいことに由来して励起子相互作用が小さくなっていることを実験および計算化学の側面から確認している。 以上から振動子強度がゼロ近傍の分子の凝集構造を用いることが、ニート薄膜において大きな発光量子収率を得るための方向性として優れていることが確認されていることから、計画通りの方向性で研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Type 2の分子設計のコンセプトを中心に新規キラルD-A化合物の合成を進め、より大きな発光量子収率と大きな円偏光発光の2色性因子を有するニート薄膜の作成を試みる。 また振動子強度がゼロ近傍のD-A分子の凝集構造では、凝集構造の前後で蛍光速度定数が変化しにくいということは確認されているが、凝集構造戦後で内部転換速度も変化しないことが何に基づいているのかが論理的に明確になっていない。それゆえ、凝集前後での振電相互作用を計算することによりそれを明確にする。これにより振動子強度が小さい分子では凝集時にも蛍光量子収率が低下しない分子サイエンスの構築につなげる。 さらに、Type 2の光学活性体からなるニート薄膜を搭載した発光ダイオードと、Type 2のラセミ体からなるニート薄膜を搭載した発光ダイオードを作成し、反射防止膜の有無での外部量子効率を計測し比較する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は、研究代表者が平成30年1月から東京工業大学から電気通信大学に移籍した関係で、場所や設備に依存しないで研究を進めやすい量子化学計算および有機合成に力を注ぎ平成30年度に予定していた材料の合成を先に進めた。そのため当初平成29年度に予定をしていた設備導入等は行わなかったため、当初計画していた設備用の費用を平成30年度に繰り越した。平成30年度は、平成29年度末までに設備の再セットアップが終了したため、光学評価のための設備を早期に導入して、平成29年度に合成した材料の評価を中心に評価を進める。
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Research Products
(11 results)