2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of Olympic Gel Materials
Project/Area Number |
17K19158
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大内 誠 京都大学, 工学研究科, 教授 (90394874)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 環状高分子 / カテナン / ゲル / カチオン重合 / 架橋 / 超分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,独自に見出した「可逆開環性環状化合物を開始剤とする環拡大リビングカチオン重合」に対して,新たな分子設計や相互作用を導入し,これまで合成が不可能とされてきた「オリンピックゲル」の合成に挑む。 クラウンエーテルのような開環不活性な環状分子存在下でビニルエーテルの環拡大カチオン重合を行うことでカテナン形成を考えた。ここで環拡大重合の制御にはルイス酸触媒としてSnBr4が有効であることがわかっていたが,本重合系は敏感で,条件が変わると環拡大重合の進行が困難になるため,環状分子存在下での重合に向かないと考えた。そこでよりロバストな環拡大重合系を開発するためにSnBr4に代わるルイス酸触媒を検討した。その結果,これまでカチオン重合の触媒として報告の無いMgBr2がルイス酸触媒として有効であることがわかった。さらにMgBr2は酸素親和性が高いために,クラウンエーテルとの高い親和性が期待され,環状拡大重合の成長プロセスでカテナン形成が促進されると期待される。今後MgBr2を用い,開環不活性な環状分子存在下での環拡大重合を検討する。また,ビニルエーテルの側鎖に別の反応点を導入して環拡大重合を行い,後反応をすることで,カテナンゲル(オリンピックゲル)の比較となる,環状高分子が共有結合で架橋した環状ゲルの合成にも成功した。 さらに,重合性基を二つ以上含んだカテナンをあらかじめ合成し,この分子存在化でカテナンゲルを合成する検討にも着手した。ここではラジカル重合を用いる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は環拡大重合の触媒としてMgBr2が有用であることを見出した。ここで,MgBr2は環拡大カチオン重合の溶媒に用いるトルエンや塩化メチレンに対する溶解性は低いが,エーテルやエステルが存在すると溶解することがわかっている。MgBr2は酸素親和性が高いため,重合をクラウンエーテル存在下で行うと,MgBr2を介して成長環状高分子鎖とクラウンエーテルが近傍に存在し,重合中のカテナン形成が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度はMgBr2を用いる環拡大重合系をベースとし,開環不活性で酸素原子を多く含む環状分子(例:クラウンエーテル)存在下,カテナンゲル(オリンピックゲル)の合成を狙う。環状分子が有るときのみにゲル化が起これば,カテナンゲルが形成している可能性が高い。一方,環状高分子の側鎖に反応点を導入し,環状高分子を共有結合でゲル化させることにすでに成功しているので,両者のゲル物性を比較することで,カテナン架橋の特徴を明らかにする。 また,既報のカテナン合成手法を参考にして,重合性基を二つ以上含んだカテナンの合成を進めているので,これを用いたゲル化によるカテナンゲルの合成も検討する。
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Research Products
(9 results)