2017 Fiscal Year Research-status Report
単一高分子鎖科学のフロンティアを拓く実空間・逆空間相補的構造解析法の確立
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17K19165
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
青木 裕之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (90343235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 司 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び中性子科学センター(研究開発, 中性子科学センター, 次長 (70789940)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 単一高分子鎖 / 中性子反射率 / 斜入射小角散乱 / 超解像顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子材料中における単一分子鎖の完全なコンホメーション解析を実現することを目的として、超解像光学顕微鏡(SRM)および斜入射小角中性子散乱(GI-SANS)を融合した方法論を確立することを目指している。 本年度においては、超解像顕微鏡に関しては、位相制御法の導入による深さ方向に対する高分解能化を図った。蛍光顕微鏡本体のカメラポートからの信号光をレンズによってコリメートした後、位相マスクを設置した。マスク透過後の信号光は再びレンズを透過してsCMOSカメラ上に結像した。位相マスクのパターンを制御することによって、観測対象物が焦点面からごくわずかに外れただけで敏感に観察形状が変化するようにした。これにより、深さ方向に約50 nmの空間分解能を達成することができた。また顕微鏡の照明光源として、従来からの532 nmのレーザーに加え、640 nmのレーザーを同軸で入射することによってマルチカラーでの超解像観察に対応するよう改良を行った。 GI-SANSに関しては、2次元中性子検出器MWPCの導入を行った。J-PARC物質・生命科学研究施設に設置された中性子反射率ビームラインBL17においてそのテストを行った。まず積算した中性子信号のデータ表示ソフトウェアを作成し、取得したデータから様々な解析を可能にした。次いで、感度構成などの実験を行う段階となって、BL17のチョッパー装置の故障によって中性子実験を行うことができなくなり、MWPCの導入を完了することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BL17において高エネルギー中性子線を遮断するためのT0チョッパーシステムが停止したため、2次元検出器の使用を行うことができず、斜入射散乱に関する研究を十分に進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、中性子施設のチョッパートラブルによってGI-SANSに関する実験計画が遅れることとなった。その修理は夏期停止期間に予定されており、10月後半の再稼働後にMWPCの導入とこれを用いたGI-SANS実験の実現にむけて研究を進める。一方、超解像顕微鏡に関しては、概ね計画通りに進んでおり、後半のGI-SANSとの同時実験に向けてシステムの準備と予備測定を行う。
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Causes of Carryover |
本年度はJ-PARCビームラインBL17のトラブルによってMWPCに関する実験を行うことができず、本件に関する予算を執行できなかった。次年度に復旧予定のため、全額執行予定である。
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