2017 Fiscal Year Research-status Report
レーザー光で電荷を自由に運ぶ透明セラミックへの挑戦
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17K19167
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中西 貴之 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30609855)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 光伝導 / 希土類 / セラミックス / レーザー操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、レーザースポット光の精密走査で、電荷(電流)の通り道を自由に動かすことのできる伝導体素子の検討である。光照射部だけに電流が流れ、その走査部は一時的な電気回路となる導線フリーの革命的技術を目指している。具体的には、紫外レーザーを用いたスポット光の精密走査により、絶縁体上の電極間に印加電圧をかけ、光照射による電流のOn/OFFや、スポット光の走査で電流(電荷)の動きを操るON/OFF回路形成を確かめることである。 初年度は提案する動作原理の深化と無機材料化学に基づき選定した候補:光エネルギー貯蔵材料からベストな候補の選定を行い、またガルバノミラーを用いたレーザー細線の照射システムの作製を行った。具体的に、透明試料の合成では、希土類Euを用いた蓄光機能を有する酸化物単結晶をフローティンングゾーン法で様々な条件のもと作製し、その基礎光物性を検討した。次に試料上に電極を作製し、光照射により試料全体に流れる平均的な光電流値測定を行い、大きな光電流を獲得できる成分組成の候補を絞った。上記試料作製と平行して、光の細線を顕微鏡スケールの中で、自由に操作できるガルバノミラーレーザーシステムの構築を行い、それをクライオスタット 中で実験できる測定環境を整えた。今後はこれらを用いて、光の操作により形成される光-電気伝導回路の詳細な検討を行う。本材料開発の挑戦提案は既知物質の利用でありながら、光エレクトロニクスの未来材料になる可能性があり、材料物性化学の純粋な学理と実用性を兼ねた非常に意義深い研究と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画では光操作すなわち、光が通る軌跡や掃引速度により、光電流が観測される基本的な動作原理解明と実証実験を行いその検討を行う。初年度は、研究予算を用いて紫外線レーザーのスポット光(<50μm)を照射し、ガルバノミラーにより高速掃引を可能にする光学システム構築を行った。また光伝導測定に用いる光貯蔵性結晶には、希土類が添加さたEu: SrAl2O4とEu:CaAl2O4の透明な結晶が必要となり、現環境下で作製可能な単結晶の作製と検討を行った。 今年は全計画2年の半分の期間に当たり、概ね計画通りの試料作製と、測定装置(レーザーガルバノミラーシステム)の作製を終えることができた。科研申請者の移動がH30年4月1日にあったが、ガルバノミラー装置および測定技術ノウハウは引きつづきスムーズな移動ができたため現状は概ね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年までに、概ね計画通りの試料作製とレーザーガルバノミラーシステムの作製を終えることができた。科研申請者の移動がH30年4月1日にあったが、ガルバノミラー装置および測定技術ノウハウは引きつづきスムーズな移動ができたため現状は概ね順調に進んでいるといえる。次年度は作製した光貯蔵性セラミックに3電極回路を作製し、光掃引時の光伝導特性を検討を行う。電極には異なる印加電圧をかけ1. 光伝導値を光掃引速度で制御(電流増減)、2. 光電流の電圧依存性/逆バイアス回路で電流方向の評価(整流作用)を明らかにして行く。また原理的には更にマルチチャンネルを形成でき、スポット光を2つ使うなど、より複雑化させた実験系での光相互作用効果と、光回路のクロスによる電気伝導性の検討も行う。本材料開発の挑戦提案は既知物質の利用でありながら、光エレクトロニクスの未来材料になる可能性があり、材料物性化学の純粋な学理と実用性を兼ねた非常に意義深い研究となることが期待される。
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Research Products
(1 results)