2017 Fiscal Year Research-status Report
レドックスキャパシタ材料とハイブリッド流動層電極を用いたLi回収
Project/Area Number |
17K19174
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杉本 渉 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (20313843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 隆司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40325486)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 無機工業化学 / セラミックス / 化学工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではレドックスキャパシタ反応を利用したリチウム回収技術の概念立証とこの反応を活かしたハイブリッド流動層CDI(Capacitive De-Ionization) を確立することを目的としている。吸着量が大きく,大きな活性面積をもつナノ酸化物と活性炭の分散液をイオン交換膜を介して循環させた『ハイブリッド流動層CDI』セルを開発し,装置単位体積あたりのLi回収量を増加させることを目指す。次に示す3つの課題に取り組む。(1)高速Li回収が可能な材料開発,(2)流動層CDIに適した分散液の開発,(3)ハイブリッド流動層CDIセルの設計と試作。
【電極材料開発】 CDI(電気二重層形成を利用した脱塩)のプリミティブな試験として20 mM LiCl電解液中での活性炭電極と酸化ルテニウムナノ粒子電極のキャパシタ特性を評価した。0.5 M H2SO4と比較してキャパシタ的挙動をしめさず,抵抗が大きいボルタモグラムとなった。電解液を500 mM LiClとするとキャパシタ的挙動が見られた。この違いは電解液の伝導率を反映したものであり,20および500 mM LiClは各々2,40 mS/cmであった。活性炭電極を用いた場合,充電状態と放電状態で伝導率に1%の変化が見受けられた。これらの結果より,電極量を増やし,電解液量を減らす必要があることがわかった。 【セル設計】 電解セルの設計をすすめた。市販の電解セルを入手し,これを改良することで流動層電極を用いた連続処理が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では酸化ルテニウム以外にも酸化マンガンやリン酸鉄リチウムをも検討することにしていた。セル設計を優先して取り組んだために,酸化マンガンやリン酸鉄リチウムの評価に至らなかった。一方で最終形の流動層スラリー電極セルの設計とそれに至るまでの簡略化したセルの設計などを先行して進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
(電極材料開発) まずは静的条件下で酸化マンガンやリン酸鉄リチウムを検討し,酸化ルテニウム電極との比較をする。続いて,イオン選択制を検討する。電極材料や電位により選択的イオン吸着が可能かどうかを見極める。 (分散液開発) イオン吸着量を増やすために多孔質な電極材料分散液の調製に取り組む。とくに物質輸送がボトルネックになると予想されることから,階層構造などを積極的に導入する。 (セル設計) スラリーフロー電極での評価を実施する。すでに基本セルの作製に取り掛かっている。
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