2017 Fiscal Year Research-status Report
高配位ケイ素をビルディングブロックとした新規ナノ空間材料の創製
Project/Area Number |
17K19184
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
黒田 一幸 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90130872)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 高配位ケイ素 / 多孔体 / ビルディングブロック / ホスト―ゲスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではケイ素原子に対して多座配位をとれるような有機配位子を利用することで、一般に不安定とされる5配位や6配位状態の高配位ケイ素を構造単位とした新しい多孔質材料の合成法を確立することを目的としている。本年度は、多孔質骨格中で高配位ケイ素を安定化させることができる合成条件の検討を中心に行った。 1. 高配位ケイ素を構造単位とする三次元構造体の直接合成 テトラエトキシシラン(ケイ素源)と2,3,6,7,10,11-ヘキサヒドロキシトリフェニレン(HHTP)をエタノール溶媒中、トリエチルアミン存在下90℃で1日加熱撹拌することで、トリエチルアンモニウムをカウンターイオンとして6配位ケイ素がHHTPで架橋された三次元架橋体(Hc-HHTP)の合成に成功した。また、同様の条件で1,4-bis(triethoxy)benzene (BTEB)をHHTPと反応させた結果トリエチルアンモニウムをカウンターイオンとして5配位ケイ素がHHTPで架橋された三次元架橋体(Pc-BTEB-HHTP)を合成に成功した。 2. 高配位ケイ素ビルディングブロックの合成 テトラエトキシシランと5―ヨードサリチル酸をN,N-ジメチルホルムアミド –メタノールの共溶媒中、NaOMe存在下、室温で1日静置することで、Na+をカウンターイオンとしてSiに対して三個の5―ヨードサリチル酸が配位した6配位ケイ素化合物(Hc-ISA)の合成に成功した。Hc-ISAは終端のヨウ化アリールの反応性を活かすことで高配位ケイ素化合物同士を連結させることが可能であると考えられるため、高配位ケイ素多孔体を設計するためのビルディングブロックとしての利用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高配位ケイ素を構造単位とした三次元構造体や高配位ケイ素多孔体を合成するためのビルディングブロックとなる化合物の合成が確認できたことから、高配位ケイ素多孔体を合成するための基盤技術は確立できたと言える。一方、今回得られたHc-HHTPやPc-BTEB-HHTPは多孔質構造を示さなかったため、次年度に行うカウンターカチオンやケイ素源の種類の検討により高配位ケイ素多孔体の合成法を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
高配位ケイ素を構造単位とした多孔質骨格を構築するために、合成条件の検討を引き続き進める。他機関における関連研究の論文発表をふまえ、具体的には今年度合成に成功した高配位ケイ素ビルディングブロックを利用する手法や、カウンターカチオンの種類の検討など独自の方針で推進する。また、ケイ素源として用いるシロキサン分子の設計などを通して多孔質骨格の構造・電荷の設計を試みる。
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