2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K19186
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| Research Institution | National Institute for Materials Science |
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Principal Investigator |
宮川 仁 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (40552667)
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| Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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| Keywords | 高圧プロセス / 高温電気伝導度 / イオン伝導体 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
ペロブスカイト型関連物質への高濃度欠損導入による高イオン伝導体探索を高圧プロセス利用のもと行った。具体的には、ダブルペロブスカイト型構造をとるCa3WO6を基点物質とし、CaサイトをNaで置換することによる酸素欠損の導入を意図したCa-Na-W-O系において、新規物質探索を実施した。出発原料におけるNaと酸素の仕込み量を変えながら、0.5～7.5 GPa、700～1200℃の圧力・温度領域において高圧合成を行った結果、Ca3-xNaxWO6-x/2の仕込組成におけるx=0.5付近において、既知物質のXRDパターンでは同定できないXRDパターンが観測されたため、合成パラメータである温度・圧力を最適化することで、単相と考えられる試料が得られる合成条件を求めるとともに、新物質が高圧合成でしか得られない、即ち、高圧相であることの確認も行った。また、同じ合成条件下で、Na無しの組成、Ca3WO6を高温高圧処理しても、既知物質であるダブルペロブスカイト型構造であるCa2CaWO6のみが生成し、XRDパターンからは未知の回折ピークが観測されないことを確認した。見出した新物質の多結晶体試料から、結晶をピックアップすることで、単結晶構造解析を試み、単斜晶系の結晶構造をとる新物質であることを明らかにした。物性に関しては、得られた新規物質の電気伝導性評価を、空気中、300℃～600℃の温度範囲で、交流インピーダンス法により行い、500℃で10-3 Scm-1程度の電気伝導度を示すことを観測した。しかし、600℃を超えると電気伝導度の減少が観測され、それが結晶構造が常圧構造に戻ることに由来することを明らかにした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた高圧合成用の高温ヒーターの開発に着手しなかったが、その代わりに新物質探索に注力した結果、新規物質の合成とその同定に成功していること。またその物質の高温電気特性の評価において、代表的な酸素イオン伝導体であるYSZと同程度な電気伝導性が得られているため。
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| Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、主に物質探索に焦点をあて本課題を推進していく。合成実験では、CaサイトをNaで置換することで得られた新物質の組成を参考に、Na以外のK、Li等のアルカリ金属イオンで置換した物質も合成可能か検証していく。その過程において、今回見出したような常圧下では準安定相となる高圧相が、イオン伝導体の母体として、有望かどうかの検証を試みたい。その為に、実際に高い導電性を示す高温下において、結晶構造及びその対称性が室温付近の結晶構造から変化しているか検証することを意図し、高温下X線回折測定やTG/DATなどの、新しい測定も遂行していく。これらの結果をフィードバックしていくことで、蛍石型構造やペロブスカイト型構造とは異なる、新たなイオン伝導体の母構造の候補となる結晶構造を見出したい。以上、合成に関しては、高い酸素イオン伝導性を有し、かつ動作温度が低い物質、かつ化学的に安定な物質の探索を目指す。
また圧力による構造相転移のシーケンスに基づいた典型金属酸化物の新機能開拓においては、Al2O3と類似の構造相転移シーケンスを示すGa2O3を中心に、疎な構造への相転移する物質探索も継続して進めて行く。
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| Causes of Carryover |
高圧装置周りの空調設備の修繕作業があったこともあり、高圧合成用の高温ヒーター開発に注力しなかったため、そのためにとっておいた予算から次年度使用額が生じた。翌年度、高圧用ヒーター関連の購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)
