2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞小器官の選択的分解に基づく神経変性疾患の治療戦略
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17K19190
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有本 博一 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (60262789)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞小器官の機能不全は老化や疾患の原因となる。特にミトコンドリアの機能不全は細胞内のエネルギー産生減少に加えて活性酸素の過剰産生によって遺伝子や生体分子を障害する。神経変性疾患の一部はミトコンドリア機能不全と関係が深いと考えられている。本研究では機能不全ミトコンドリアの選択除去を可能にする化合物の開発を目指している。 本年度は、研究計画にもとづき培養細胞を用いて化合物の評価を進めた。ダウン症由来の繊維芽細胞は、ミトコンドリアが高度に断片化しており評価に適していた。そこで、開発化合物候補を投与したところ、ミトコンドリア長、ネットワークなどが正常な線維芽細胞に近づくことが明らかになった。 一方、ダウン症由来細胞は細胞老化の程度によってミトコンドリア形態が大きく異なるため、細胞の状態によって化合物の効果が変動するか今度は調査する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミトコンドリアの機能不全を有する細胞株において、化合物によってオートファジー分解を促進し、ミトコンドリア機能改善効果を確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリア分解の機構をより詳細に調べ、化合物機能のさらなる向上につながる知見を集めたい。 細胞老化と分解の関係についても引き続き調査する。
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Causes of Carryover |
機能不全ミトコンドリアは神経変性疾患などの原因となる。本課題では機能不全ミトコンドリアを選択分解して細胞機 能を改善するという挑戦的課題に取り組んだ。その結果、選択分解に成功するという成果が得られたが、論文等にまと めるためには、その機構の詳細を解明することが望ましい。そのための追加実験を行う。
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