2018 Fiscal Year Annual Research Report
Synthetic post-translational modifications
Project/Area Number |
17K19197
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上杉 志成 京都大学, 化学研究所, 教授 (10402926)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | ケミカルバイオロジー / 化合物ライブラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「人工翻訳後修飾」を小分子化合物で実現化することである。mRNAから翻訳されたタンパク質は、細胞内で様々な翻訳後修飾を受けて機能調節されている。例えば、タンパク質機能に重要なチロシンのリン酸化やリシンのアセチル化がよく知られている。このような翻訳後修飾は、細胞内では酵素によってなされている。本研究では、同じ効果を小分子化合物で生み出すことに挑戦する。これまでの試薬は、いずれも「デザイン」された試薬であり、現時点での知識を活用したものである。本研究では、細胞内の特定のタンパク質に特異的に共有結合して機能を改変する化合物を網羅的に「発見」してきた。 平成29年度は、主にスクリーニングを行った。まず、マイルドな親電子反応性基を備えた1061個の化合物を行った。活性判別蛍光プローブを加えて反応させ、SDS-PAGEで分離し、解析したところ、五つの化合物・タンパク質のペアを同定した。平成30年度は、標的タンパク質が判明していない反応性天然物76種を準備、スクリーニングを終了した。天然物Aとその誘導体が特定のタンパク質に選択的に反応することが判明した。そのタンパク質を精製し質量分析によって同定したところ、タンパク質Bであった。他にも多くの天然物-タンパク質のペアが見つかったが、選択性と生物学的な意義を吟味し、天然物Aとタンパク質Bに着目した。 タンパク質Bは転写抑制因子として知られている。骨免疫に関連し、免疫反応で刺激されるとシステインの一つがニトロトキシル化され、転写抑制因子としての機能が阻害される。このシステインに天然物Aが反応して、タンパク質Bの転写抑制作用を選択的に変調すると推測できる。この仮説を証明する実験を今後も継続する。また、今回の挑戦的研究でえられた化合物・タンパク質のペアについて、iTRAQという手法でプロテオームレベルでの選択性を確認する作業を開始した。
|
Research Products
(3 results)