• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2017 Fiscal Year Research-status Report

膜貫通型人工受容体の化学修飾法の開発とがん免疫治療への適用

Research Project

Project/Area Number 17K19204
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

森 健  九州大学, 工学研究院, 准教授 (70335785)

Project Period (FY) 2017-06-30 – 2019-03-31
Keywords膜貫通タンパク質 / シグナル伝達 / キメラ型受容体
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、膜透過型分子を開発し、それによりシグナル伝達を誘導すること、およびそれを用いてNK細胞を改変し、がん免疫治療を行うことである。膜透過の方法として、膜電位を利用した直接膜貫通法と、膜融合性リポソームを介する間接膜貫通法の2つを試みた。前者については、合成の収率が低く、その後の評価が困難であったため、合成法の検討が必要となった。その結果、胆汁酸の副反応およびオリゴエチレングリコールの縮合の過程が収率低下の原因であることが分かった。また、膜電位感受部の構造を単純化すると、合成の収率が上がることが分かった。この分子は膜貫通が可能であるが、従来分子よりも透過の速度が遅いことが明らかとなった。したがって、より高収率で合成可能な分子構造への変更と、合成法を見直し(胆汁酸への保護基の利用)が必要であること分かった。
間接法については、細胞膜上に分子が存在することがわかった。しかし、分子の細胞への修飾に伴うeDHFR-GFPの細胞膜への移行は見られなかった。これは実際には分子が膜貫通していいないか、あるいは膜貫通しているもののリンカー長が短い可能性がある。
膜貫通分子が膜透過することを人工二分子膜を用いて評価する系を二つ構築した。一つは蛍光の消光を利用する方法であり、従来の膜電位感受部が、2時間以内という短時間で膜電位の掛かっていない膜を透過できることを明らかとした。また、平板膜を用いて膜電位を生じさせた場合の透過をK+電流の計測から示す系を構築した。その結果、膜電位感受が膜透過することを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

間接膜貫通法:これは膜融合リポソームを用いる方法である。膜貫通可能な分子を作製し、文献に倣って膜融合リポソームに組み込んで、これを細胞に添加した。細胞表面に膜貫通分子に由来する蛍光が確認されたものの、細胞内で発現させているeDHFR-GFPの細胞膜への集積は見られなかった。うまく行かなかった原因として、(1)細胞膜上に蛍光は見られるものの膜を貫通した状態で存在していない、(2)リンカー長が短く、細胞内のeDHFR-GFPと結合できないなどが考えられる。
直接膜貫通法:これは膜電位を利用して、分子を膜貫通させるオリジナルの方法である。分子の合成は可能であるが、大変収率が低く、詳細な検討することが困難であることが分かった。そこで改めて合成法を検討し、さらにより単純な分子で膜透過が可能であるかを検討した。単純な分子として、これまでの胆汁酸を2つ含む分子から、一つに減らしたところ、膜電位感受部の合成収率が大きく改善した。したがって、胆汁酸を無保護で修飾することが大きく収率を低下させていると考えられた。この新しい膜電位感受部に対してオリゴエチレングリコールのリンカーを縮合したところ、収率が大きく低下した。この部分も収率の低下の原因であることが分かった。得られた分子を細胞に修飾したが、細胞への修飾率が従来分子よりも大きく低下することが分かった。すなわち、胆汁酸は2つ以上ないと、修飾が困難であることが分かった。合成法の再検討として、N端とC端を反転させること、クリックケミストリーの利用などを検討した。クリックケミストリーに関しては、膜電位感受部の疎水性が高いため、水中で行うクリックケミストリーは収率が低かった。有機溶媒を用いたり、界面活性剤を添加するなどして、収率を改善する必要のあることが分かった。

Strategy for Future Research Activity

直接膜貫通法:合成の収率改善に取り組む。膜電位感受部の合成について、胆汁酸の水酸基を保護して副反応を抑えることとする。胆汁酸以外の合成の容易な疎水基(ピレンブチレートなど)を用いることにする。また、膜電位感受部と膜貫通部の連結にはクリック反応を用いる。膜電位感受部は反応溶媒への溶解性に乏しいことから、有機溶媒との混合溶媒を用いること、および界面活性剤の添加を行い、反応性の向上を目指す。
また、膜透過速度は遅いものの膜透過しうることは分かったので、S-パルミチルトランスフェラーゼを用いて、細胞膜の内葉側に分子をとどめ、膜貫通の状態を安定する方法についても検討する。
間接膜貫通法:間接膜間通法については、膜上への分子の存在することは確認されており、なぜ、eDHFR-GFPが細胞膜に結合しないのかが問題である。リンカー長の不足が考えるためリンカー長を長くする。また、リポソーム作製時に、膜透過していない可能性が考えられるため、膜電位を持つリポソームを作製し、膜貫通をした状態でリポソームに分子を挿入する方法を検討する。
膜貫通分子のラフトへの移行の評価:当初の研究計画に従い、修飾した分子がT細胞とがん細胞が接触している免疫シナプスに濃縮されるかどうかを評価する。また、分子に修飾したITAMペプチドが、リン酸化していることをHPLCにより評価し、シグナル伝達を証明する。

Causes of Carryover

合成に時間を費やしたため、当初計画にあった細胞実験への出費が予定額を下回った。次年度は、まだ合成法の最適化が必要であるため、繰越した予算は効率的な合成法を見出すために用いる試薬費として用いる。また、細胞実験への出費に用いる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Use of membrane potential to achieve transmembrane modification with an artificial receptor2017

    • Author(s)
      2.W. Hatanaka, M. Kawaguchi, X. Sun, Y. Nagao, H. Ohshima, M. Hashida, Y. Higuchi, A. Kishimura, Y. Katayama, T. Mori
    • Journal Title

      Bioconjugate Chemistry

      Volume: 28 Pages: 296-301

    • DOI

      10.1021/acs.bioconjchem.6b00449

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 膜貫通タンパク質を模倣した細胞膜修飾分子の開発2017

    • Author(s)
      畠中 渉, 岸村 顕広, 森 健, 片山 佳樹
    • Organizer
      第3回細胞生物若手交流会
  • [Presentation] 膜透過ペプチドを利用した膜貫通タンパク質ミメティクスの開発2017

    • Author(s)
      畠中 渉, 岸村 顕広, 森 健, 片山 佳樹
    • Organizer
      第49回若手ペプチド夏の勉強会
  • [Presentation] Design of Artificial Transmembrane Receptor for Cell Surface Engineering2017

    • Author(s)
      W. Hatanaka, A. Kishimura, Y. Katayama and T. Mori
    • Organizer
      Biomaterials international 2017
  • [Presentation] 細胞膜電位を利用した膜貫通タンパク質模倣分子 の開発2017

    • Author(s)
      畠中 渉・岸村 顕広・森 健・片山 佳樹
    • Organizer
      第66回高分子討論会

URL: 

Published: 2018-12-17  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi