2018 Fiscal Year Research-status Report
RNA連結活性創出メカニズムを基盤にした逆翻訳系構築の試み
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17K19210
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田村 浩二 東京理科大学, 基礎工学部生物工学科, 教授 (30271547)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | RNA連結 |
Outline of Annual Research Achievements |
R3Cリボザイム(73ヌクレオチド)を部分的領域欠損して活性を失わせた49ヌクレオチドの変異体<A>、および、<A>とkissing-loopを形成する7ヌクレオチドからなるループ配列をもち、基質結合部位を持たないヘアピン状のRNAである<hairpin-ΔU>を作製し、<A>と<hairpin-ΔU>を混合することによる連結活性の変化を測定したところ、基質結合部位がないにも関わらず、基質の連結は<A>の側でなく、<hairpin-ΔU>の側に起こることが明らかになった。これは、2つの変異体の相補的な配列が、kissing相互作用を介して複合体を形成することにより、活性に必要な構造変化が誘因されたことが、その理由として考えられた。これらのkissing-loop配列の一部を非相補的配列に置換したところ、連結活性が失われたが、再度、別の相補的配列に戻したところ、活性が回復した。kissing-loopの構成ヌクレオチド数を7から、6、5と徐々に減らしたところ、 連結効率が低下したり、連結活性を示さないものも出現したりした。kissing-loop部分の自由エネルギー的な考察から、kissing-loopを介した複合体の形成は、主として、熱力学的支配に依存しているが、一部は、速度論的支配にも依存し、連結活性の創出に寄与していることが示唆された。これらの成果に関して、学術論文発表や学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R3Cリガーゼリボザイム欠損変異体が、トランス系で活性上昇を引き起こすメカニズムに対して、ループ間相互作用のヌクレオチド数のその構成にまで迫っていくことができた。やや遅れ気味であった先年度に比べると、大きな進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
R3Cリガーゼリボザイムにおけるkissing-loop相互作用を介しての構造変化は大きな発見であるが、まだ、連結部位に直接作用する反応メカニズムが明らかでない。今後は、まず、その解明を優先する。さらに、基質結合部位へのペプチドの結合の可能性についても検討を加え、当初の目標である逆翻訳への道筋を明らかにすべく進めていく。
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