2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of isolation and cultivation methods for uncultivable microbes
Project/Area Number |
17K19218
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青柳 秀紀 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00251025)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 未培養微生物 / 微生物ダークマター / 寒天平板培地 / 特殊セルロース / 振盪培養 / 模擬微小重力 / 環境試料 / フィルター |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、従来の微生物培養法(寒天平板培養法)では、自然界に存在する微生物の1%程度しか培養できないことが明らかとなり、その限界が指摘されている。残された99%の未培養微生物(微生物ダークマター)資源の開拓、活用を目指し、網羅的な環境ゲノム解析が国内外で盛んに行われている。しかしながら、塩基配列だけでは分からない未知の微生物機能の解明や実用的利用を行う場合、実際に未培養微生物の単離培養が必須になる。そのため、従来法の問題点を排除した新規培養法の開発が求められている。これまで国内外で種々の培養法が開発されてきたが一般的に普及していない。この現状を踏まえ、寒天平板培養法の問題点を排除した未培養微生物の実用的な単離培養法(培養基材)の開発を試みた(種々の微生物の培養実験を通じてセルロースシートを活用した培養基材の諸条件の最適化について検討をおこなった)。土壌試料を、開発した本培養基材、寒天平板培地で培養後、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法で培養微生物群集を比較解析した結果、本培養基材でのみ得られる微生物の存在が示された。また、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法で検出されたバンドの塩基配列を解析し、各培養法で得られた微生物叢の多様性を調べた結果、本培養基材は他の培養法よりも高い割合で新規微生物を培養化できることが示された。土壌試料中の微生物群集とその培養により得られた微生物群集を次世代シーケンサーにより比較解析した結果、本培養基材は寒天平板培地と比較して培養微生物群集の多様性が保たれていた。また、振盪フラスコ培養、模擬微小重力培養、環境試料の前処理などを適切に活用することで、培養化される未培養微生物の多様性を増大できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い、特殊セルロースシートを活用した本培養基材の開発、本培養基材を培養特性や諸物性の把握、を寒天平板培地と比較評価、振盪フラスコ培養や模擬微小重力培養と組み合わせた培養化、などに関して基礎的、応用的な成果をあげることができた。研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を基盤に、本培養基材の培養特性の把握と最適化について検討し、改良をおこない、実用的な培養基材を完成させる。引き続き、様々な環境試料から微生物の単離培養と解析を行い、未培養微生物を単離培養、獲得、同定を目指す。また、本培養基材で寒天平板培地と異なる微生物が得られる機構を解析する。さらに、本培養基材を用い、寒天平板培養法では困難な操作条件下(例:強酸性条件下での培養など)での微生物の単離培養と解析、同定を行う。最後に、2年間の成果を総括し、本法の有用性を評価する。
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Research Products
(9 results)