2017 Fiscal Year Research-status Report
筋肥大シグナルを受容する新規筋収縮センサータンパク質の探索
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17K19219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 誠 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40409008)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 酸化修飾 / 電気刺激 / C2C12 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、筋収縮シグナルを受容する新規センサータンパク質の同定を試みた。4日間分化させたマウスの培養骨格筋細胞(C2C12細胞)を電気パルス刺激(EPS; electrical pulse stimulation)、24時間収縮させた後に細胞を回収し、タンパク質解析を行った。ウェスタンブロット解析の結果、酸化修飾タンパク質(グルタチオン化など)の増加が認められた。次に、酸化修飾の抗体を用いて免疫沈降法による精製を試みた。ウェスタンブロットで確認できた酸化修飾タンパク質であったが、免疫沈降により明瞭なバンドを得ることができなかった。筋収縮による酸化修飾は強力ではないことが予想されたため、電気刺激による筋収縮開始後どのタイミングが最も酸化ストレスが見られるか詳細なタイムコース実験を行い、活性酸素、酸化ストレスで活性化される因子(NRF2、AMPキナーゼなど)、及び骨格筋細胞より分泌されるマイオカイン(インターロイキン6など)を測定し実験条件を精査した。 培養細胞では、回収可能な酸化修飾タンパク質の絶対量が少なく、修飾タンパク質の精製・同定が困難である可能性が考えられたので、実験動物(ラット)を用いた骨格筋収縮実験の系を確立した。具体的には、ラットの下肢に電極を張り付け経皮で電気パルス刺激を与えレジスタンス運動を行わせた。骨格筋よりタンパク質を調製しウェスタンブロットを行った結果、筋収縮で活性化される複数のシグナル分子の変動が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度中に筋収縮による酸化修飾タンパク質の同定を完了する予定であった。しかしながらウェスタンブロットでは筋収縮刺激による酸化修飾タンパク質の増加が認められたが、免疫沈降サンプルで明瞭なバンドを得られず、質量分析による解析まで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
電気刺激刺激による筋収縮で修飾タンパク質が得られなければ、まずは過酸化水素など薬剤による酸化ストレスで検討する。また、運動をさせた動物組織から骨格筋を回収し、単量のタンパク質サンプルを用いて酸化修飾タンパク質の同定を目指す。また、通常のSDS-PAGEでは目的のタンパク質が分離できていない可能性が考えられるため、二次元電気泳動での解析を実施する。
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Causes of Carryover |
酸化修飾タンパク質の精製に予想以上に時間を要し、質量分析及びそれ以降の解析が未実施のため。
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