2018 Fiscal Year Annual Research Report
Production of inositol isomers by intracellular combinatorial enzymology
Project/Area Number |
17K19237
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 健一 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (20230732)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | イノシトール / 枯草菌 / Geobacillus kaustophilus / コンビナトリアルエンザイモロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
イノシトール(inositol)には9種類の異性体があり、幾つかの異性体は社会問題ともなっている難治性疾病の治癒および予防に有効である。しかし、何れも希少かつ高価に過ぎるため既知の有効性のみならず安全性の検証も遅れており、ましてや新たな効能の探索も難しい現状にある。従って、希少イノシトール異性体の 効率的生産手段の開発が待ち望まれている。申請者は微生物のイノシトール代謝を利用して、アルツハイマー病に効力があるscyllo-inositol(SI)や糖尿病に 有効なD-chiro-inositol(DCI)という2種の異性体の生産に成功した実績がある。一方、もう一つの異性体epi-inositol(EI)は鬱病に適応がみられると報告が あるが、その有効な生産方法は未だ確立されていない。本研究は申請者が培った従来の研究を発展させて、複数のイノシトール脱水素酵素を組み合わせる細胞内 コンビナトリアル・エンザイモロジーを実施し、様々な希少イノシトールを生産する新たな手法開発の可能性を探る挑戦である。 前年度は、第 1期コンビナトリアル・エンザイモロジーの実施として、2 種類の異なるイノシトール脱水素酵素を発現する組み合わせ 15 通りのコンビナトリアル株を揃えた。作成された 15 種類のコンビナトリアル株について、それぞれ MI を 1%程度含むイノシトール異性体変換用ソイトン培地にて培養し、培地中に放出蓄積されるイノシトール異性体を分離同定した。結果的に幾つかの組み合わせにおいてMIからSIへの変換が認められた。そしてH30年度は、上記の15株それぞれに枯草菌またはGeobacillus kaustophilusに由来するイノソース異性化酵素を加えて、計30株のあらたなコンビナトリアル株を揃えた。その結果、SIのみならずDCIへの変換が複数の菌株において観察された。
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