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2018 Fiscal Year Research-status Report

アブラナ科植物におけるゲノムの自己/非自己認識機構の解明

Research Project

Project/Area Number 17K19259
Research InstitutionUtsunomiya University

Principal Investigator

房 相佑  宇都宮大学, 農学部, 教授 (50302443)

Project Period (FY) 2017-06-30 – 2020-03-31
KeywordsDouble Haploid(DH)系統 / アブラナ科 / ゲノム脱落
Outline of Annual Research Achievements

全遺伝子がホモ接合である純系は,育種や研究において重要である.申請者らはこれまでの研究成果から,アブラナ科機能性新型野菜『香味菜』を用いた交配によって,従来よりも極めて簡便に任意のアブラナ科品種のDouble Haploid (DH) 系統を育成できる手法(香味菜法)を開発しつつある.本研究課題では,これまで近交系や純系の育成が困難であったアブラナ科作物を対象とした新規 DH 系統作出法(香味菜法)の実用化にむけて,生殖時に異種ゲノムを受容し雑種が成立する場合と,異種ゲノムを感知し排除する場合とを遺伝学的に調査することで,新規 DH 系統作出法である香味菜法の成否を決定する因子を探索し,これまでの研究によって,次の2つのことを明らかにした.
1つ目は,香味菜法によるDH系統の作出(およびゲノム脱落)をさまざまな B.rapa 品種を用いて試みた結果,同種内であっても香味菜法の成功率に顕著な品種間差があることを明らかにした.2つ目は,受精後5日目前後のタイミングで非自己ゲノムが脱落することが示唆された.これらの結果から,今後の研究において効率的にゲノム脱落の過程が観察でき,現象の理解が進むと考えている.
また,遺伝学的研究を実施するための材料となるCDD や CCD といった二基三倍体や,品種間の F1 植物体についても,すでに作出を実行し,研究準備を進めた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

外部に発注した次世代シーケンサーによるRAD-seq解析について,データの納品が遅延したため,進捗に遅れが生じたものの,データの納品と予定していた遺伝学的解析と分子生物学実験は完遂することができた.実施した遺伝学的解析からは,香味菜法によるDH系統の作出(およびゲノム脱落)において,さまざまな B.rapa 品種ごとに,その成功率に顕著な品種間差が認められるという興味深い実験データが得られ,今後のさらなる遺伝学的解析が期待できた.
また,分子生物学実験からは受精後5日目前後のタイミングで非自己ゲノムが脱落することが示唆されたため,このステージのサンプルを用いてwhole mount in situ hybridization(WISH)法による解析や,最新の実験機器を利用した3D電子顕微鏡による観察を実施する準備を実施した.
本研究課題の推進によって,今後の実験に用いる植物品種が明確になり,さらなる研究による発展が期待できる.
次世代シーケンサーを利用したRAD-seq解析のデータ納品(発注は2018年9月)が,2019年3月になってしまったため,このデータの解析を現在実施している.

Strategy for Future Research Activity

ゲノム脱落現象を引き起こすセンサーは,非自己ゲノムの何を認識しているのか?,という疑問について2つの仮説を立ててアプローチする.1つ目の仮説は,センサーが非自己ゲノムのゲノムサイズを認識しているというもので,2つ目の仮説は非自己ゲノム内の特異的な遺伝子座に由来する情報によって認識しているというものである.これらのどちら仮説が支持されるかを遺伝学的な実験で検証する.
また,これまでの研究によっておおまかなゲノム脱落のタイミングが受精後5日目前後にあることが明らかとなったことから,特定したステージの胚サンプルに対して WISH (whole mount in situ hybridization) と呼ばれる,組織や個体全体に対するin situ hybridization 解析を行う。この方法では,切片ではなく組織丸ごとを用いてin situ hybridization 解析を行うため,観察対象の空間的な情報が得られ,さらに組織内の限られた細胞で起こっている現象を見逃すことなく補足できるというメリットがある.近年,植物の透明化技術が進歩したため(ClearSee(Kurihara et al.,2015),TOMEI(Hasegawa et al.,2016)),動物組織の解析に利用されてきた本技術も植物組織に対して十分に適用可能になった.

Causes of Carryover

天候不順や,ビニールハウスの破損の影響のため,RAD-seq 解析に必要なサンプル数が十分に用意できなかった.そのため,より再現性が高く,信頼性の高い実験データを得るために,さらに一年分のサンプルを追加して,2017年度サンプルと2018年度サンプルの両方を,実験対象サンプルとすることにした.これによって,RAD-seq 解析に必要な経費が次年度使用となった.

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] 1.Allopolyploidization induces partial remission of cytoplasmic male sterility within Brassica napus carrying Diplotaxis erucoides cytoplasm2018

    • Author(s)
      Yoshiaki Fujita, Atsushi Yagi, Su-Hyeun Shim, Takayuki Ohnish, Sang-Woo Bang
    • Organizer
      International Association of Sexual Plant Reproduction Research
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 2.Utilization of useful traits by the interactions between nuclear genome and organelle genome in Brassicaceae2018

    • Author(s)
      Y. Fujita、A. Yagi, S.H. Shim, T. Ohnishi, S.W. Bang
    • Organizer
      The 11th Japan-China-Korea Graduate Student Forum

URL: 

Published: 2019-12-27  

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