2018 Fiscal Year Annual Research Report
Role of the insect ionotropic receptor, Grs in the sensing organs and internal tissues
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17K19261
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 令一 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30235428)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | gustatory receptor / Gr / Bmobyx mori / neuropeptide / Tachykinin / 中腸内分泌細胞 / 小球細胞 / 小顋肢 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下のように昆虫の味受容体が体内のあちこちで重要な役割を果たしていることが示唆された。 ①血球におけるGrの発現と機能: Gr4, 6, 9, 10, 63は血球のうち小球細胞に発現していた。また、Gr57が血球のうちエノシトイドだけに発現していた。これらはそれぞれの血球の分化や増殖に関与する可能性が考えられた。②中腸内分泌細胞におけるGrの発現と機能:中腸内分泌細胞のうちタキキニンを生産するあるサブポピュレーションにGr6, 9が発現していることが明らかになった。Gr6, 9はクワ中に含まれる幾つかの物質に応答することが分かっている。よって、このサブポピュレーションでは、Gr6, 9が中腸に到達したクワ中に含まれる物質を受容してタキキニンを介して摂食行動や生理機能を制御している可能性が考えられた。確かに、中腸が餌で満たされると、あるいは糖やアミノ酸、クワ中の2次代謝産物に触れると、中腸からタキキニンが分泌されるので、Gr6や9の餌中の物質の認識が中腸内分泌細胞のタキキニン分泌に直結していると推察された。③小顋肢におけるGrの発現と機能:Gr6, 9がカイコ幼虫の口器周辺にある感覚器官である小顋肢の神経で発現していることが明らかになった。また、小顋肢はクワの葉の表面にある微量な2次代謝産物を高感度で認識する器官であり、その認識によって「試しに葉をかじる行動」が誘引されることが明らかになった。よって、Gr6, 9は、「クワ葉表面に存在する幾つかの2次代謝産物を指標にしてクワであることを認識して試しがみを開始する行動プログラム」において大きな役割を果たす味受容体であろうと推察された。④上唇におけるGrの発現と機能:Gr10がカイコ幼虫のうわくちびるに相当する上唇のニューロンで発現しており、しかもカイコ幼虫が応答するイノシトールに応答することが明らかになった。
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Research Products
(10 results)