2019 Fiscal Year Annual Research Report
Enhanced virulence induced by coinfection with plant virus and bacteria
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17K19263
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
平田 久笑 静岡大学, 農学部, 准教授 (00432196)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | カンキツ / 細菌病 / ウイルス病 / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物病の研究は、病原の同定と発病機構の解明を主として発展し、特に病原体の感染力と植物の抵抗性誘導の関わりに着眼することで発病に至るメカニズムへの理解を深めてきた。そして多くの場合は、その病害を引き起こす主要な病原体に焦点を当て、宿主との関わりを調べてきた。しかし近年、先進的な解析により主要な病原体以外の微生物感染を調べることが可能となり、栽培現場では複数の病原体よる重複感染が認められること、「病原体ー病原体」間の相互作用が発病程度に影響を及ぼすことが示されている。本研究では、ウイルスと細菌という形態も感染様式も全く異なる微生物の重複感染の影響を調べることを目的とし、まずカンキツを宿主とするウイルスと細菌の相互作用を調べた。その結果、ウイルスの感染状態がカンキツ細菌病の発病を促進すること、その際、細菌感染に対する植物の抵抗性誘導が抑制されることを見出した。さらに、ウイルス種を変えて細菌病への影響を試験した場合は、抵抗性誘導の抑制は認められず、細菌病の発病促進は特定の病原体間の重複感染に伴う現象である可能性が示された。また一方で、カンキツ以外の植物種を用いて同様に重複感染の影響を調べた結果、ウイルス増殖レベルや発病プロセスによって細菌病への感染応答が異なることも見出した。このような結果により、ウイルス感染に由来する細胞状態が、植物の重複感染の発病制御に関わることを明らかにした。
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