2018 Fiscal Year Research-status Report
A novel reproductive system that enables genetic management of asexual parasitoid strains
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17K19268
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前藤 薫 神戸大学, 農学研究科, 教授 (80346238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和智 仲是 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 協力研究員 (40635299)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 寄生蜂 / 無性生殖 / ミトコンドリアCOI / ハプロタイプネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本種寄生蜂ギンケハラボソコマユバチMeteorus pulchricornisの有性系統と無性系統が同所的に生息する香川県内の生息地において引き続き系統採取を行って、それぞれ数十系統を識別し、うち数系統ずつを飼育系統として維持している。採取した有性系統のオスを様々な条件に置いた無性系統のメスと交尾させて宿主であるハスモンヨトウ幼虫に産卵させて子世代を得る実験を積み重ねている。また、大量飼育の容易な代用宿主スジコナマダラメイガ幼虫を利用した飼育システムの確立に際して課題となっていた自然産卵と体サイズの増大について、それぞれ交互照明とJHA塗布によって改善することが出来た。 また今年度は、北海道から沖縄にかけて日本各地で採取された両生殖型の全115系統についてミトコンドリアCOIの塩基配列を解読し、ハプロタイプネットワーク解析および樹形系統解析を行った。その結果、日本列島に生息する本種には2つのCOIハプロタイプ群(GroupIとGroupII)が認められた。GroupIは四国以北に分布し、大部分が有性系統であった。それに対し、GroupIIは本州南部から以南に分布し、有性系統のほかに、無性系統の大半が含まれていた。こうした両生殖系統の系統解析と分布パターンから、北方系統と南方系統の2つの有性系統が極東アジアに分布を拡げ、それらが交雑する過程で減数分裂を行わない無性系統が成立し、その後に遺伝変異を蓄積した可能性が示唆された。さらに核DNAの変異解析を行うためにRADseq解析に供試する高い濃度のDNA抽出を進めている。なお、ミトコンドリアCOIハプロタイプの解析から、約20年前にニュージーランドに侵入・定着した無性生殖系統が極東アジアから持ち込まれたものであることが裏付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
両生殖型系統間での核遺伝子流動の実態について解明するための系統収集、交配実験および予備的なミトコンドリア遺伝変異の解析がほぼ予定どおりに進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
有性系統と無性系統の間の遺伝子流動を探知するための交配実験を引き続き進める。また、野外における両系統間の核遺伝子流動の実態を解明するため、両生殖型系統が同一生息地に共棲する四国のほか、何れかの系統が生息する本州や沖縄など各地で採取したサンプルについて、次世代シーケンシングによる核遺伝子の一塩基多型SNP解析を行う。制限酵素によってサンプルDNAを断片化させてSNPを解析するRADseqとSSR部位をPCR増幅してSNP解析するMIGseqの両手法について其々の長所と短所を検討しており、何れかの手法あるいは両手法によって核DNAのSNP変異を解析し、遺伝子流動の実態を解明する。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンシングによるSNP解析を次年度に行うために経費を繰り越すこととした。
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