2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K19272
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 幸治 九州大学, 農学研究院, 助教 (00346834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 直隆 九州大学, 農学研究院, 助教 (20304769)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | グルタチオン転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、代表的な農薬代謝酵素である昆虫由来グルタチオン転移酵素(GST)を標的として研究を進めている。申請者は、これまでにカイコGSTファミリーの1種であるbmGSTu2が有機リン剤(ダイアジノン)へのグルタチオン抱合反応を触媒すること、bmGSTu2のカイコ組織局在性、ダイアジノンのグルタチオン抱合体の同定、そしてbmGSTu2のX線結晶構造解析などを行なってきた。 平成30年度は、前年に得られたX線結晶構造解析結果をもとにbmGSTu2分子中のアミノ酸残基Phe13、Tyr107、Ile118、Tyr119、Phe211が基質結合部位を構成していることを部位特異的アミノ酸置換法ならびに酵素反応測度論的解析法を用いて発見した。次に、ゲノム編集技術(TALEN)によりbmGSTu2ノックアウトカイコの作製に成功した。すなわち、SV40核移行シグナル、hsp90プロモーターそしてGFP遺伝子を有するドナーベクターをbmGSTu2遺伝子中に挿入することでbmGSTu2遺伝子を破壊した。野生型カイコと比較した際、得られたbmGSTu2遺伝子ノックアウトカイコにおいて、有機リン剤(ダイアジノン)に対するLD50値の低下が観察された。これは、当該ノックアウトカイコ体内において、bmGSTu2によりダイアジノンが代謝されないためにLD50値低下がおこったものと推察された。また、当該ノックアウトカイコ体内においてアセチルコリン量が増加していることが明らかとなった。当該ノックアウトカイコ中、bmGSTu2はアセチルコリンエステラーゼへ不可逆的に結合し、アセチルコリンエステラーゼはアセチルコリンを代謝できない機能不全に陥っていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度におけるbmGSTu2に関する研究の進捗に関して、bmGSTu2分子中の基質結合部位を構成アミノ酸残基(Phe13、Tyr107、Ile118、Tyr119、Phe211)を同定した。 ゲノム編集技術(TALEN)によりbmGSTu2ノックアウトカイコの作製に成功した。得られたノックアウトカイコを用いて、有機リン剤(ダイアジノン)に対するLD50値の観察、そしてアセチルコリン量の測定を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、bmGSTu2分子内に存在するグルタチオン結合、二量体形成部位、プロトンリレーに関与するアミノ酸残機を同定する。また、カイコ・ダイアジノン耐性ならびに感受性系統間へのダイアジノンを投与し、両系統間のbmGSTu2発現量の動態比較を行う。さらに、コナガならびにハスモンヨトウ由来GSTu2ホモログのX線結晶構造を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度において、bmGSTu2分子内に存在するグルタチオン結合、二量体形成部位、プロトンリレーに関与するアミノ酸残機を同定することを目的とし、関連試薬を購入するため次年度使用額が生じた。
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Research Products
(7 results)