2017 Fiscal Year Research-status Report
Study for establishment of new virus-susceptible fish cell cultures using cell-to-cell fusion techniques
Project/Area Number |
17K19285
|
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
佐野 元彦 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00372053)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | 組織・細胞 / ウイルス / 水産学 / 細胞融合 / ウイルス感受性 / 魚類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、培養が困難な魚介類ウイルスの分離・培養に使用できる細胞を細胞融合によって作出することを目的とし、魚類培養細胞を用いた融合条件の検討と培養ができない1つのウイルス(アユの異型細胞性鰓病ウイルス)を例としてその培養が可能となるか検討する。 平成29年度では、 細胞融合最適条件の検討として、融合した細胞だけを選択できるように、5-bromodeoxyuridine (BUdR)に耐性化させたウナギ由来EO細胞と腎臓・脾臓より分離したウナギおよびキンギョの白血球とのポリエチレングリコールによる細胞融合を行い、ポリエチレングリコール濃度・処理時間と処理温度について検討した。アミノプテリンによる融合細胞の選択を行うため、BUdR耐性EO細胞のアミノプテリン感受性を調べたところ、(マウスのハイブリドーマ選択では4×10-7 M)1.6×10-6 Mで増殖阻害が起こることから、この濃度の融合細胞選択培地を用いることとした。ポリエチレングリコールによる細胞融合条件として、25℃、30℃、34℃の3温度、処理時間を1分間、2分間、3分間、5分間の4反応時間で検討したところ、34℃での融合細胞が少なく、ポリエチレングリコールの処理は1分間で十分で、それ以上行っても増加しないことが判明したことから、細胞融合時のポリエチレングリコールの処理は25℃、1分間とした。今後、さらに作出例数を増やすとともに、融合細胞の種類を変えて、最終的に最適条件を決定する。 アユポックスウイルスの培養可能細胞の作出に向けて、アミノプテリンへの感受性を与えるため、継代培養可能なアユの鰭由来AYF157-2細胞の8-azaguaninの耐性化を行った。徐々に薬剤濃度を上げられてきており、現在、0.2μg/mLとなっている。さらに耐性化を進め、数μg/mL程度までの耐性化を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度に計画した項目は概ね実施できた。温水性魚類の細胞融合条件は、ほぼ把握できた。この条件を基準に、冷水性魚類を用いた融合条件について早急に検討する。アユ鰭由来細胞の薬剤耐性化もだいぶ進み、近いうちに使用可能な薬剤耐性細胞が得られる見込みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
アユの鰭由来AYF157-2細胞の薬剤の耐性化ができ次第、この細胞を用いた細胞融合の検討を行うと共に、アユポックスウイルスの感受性を調べる。また、ウナギ薬剤耐性EO細胞を用いた種々の融合細胞について、ウイルスの感受性の変化を調べ、当初計画通り、細胞融合の手法が魚類のウイルス研究に有用であるか結論を得る。以上をとりまとめ、成果として、学会発表や論文投稿を進める。
|