2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study for establishment of new virus-susceptible fish cell cultures using cell-to-cell fusion techniques
Project/Area Number |
17K19285
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
佐野 元彦 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00372053)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞融合 / 魚類培養細胞 / 魚介類ウイルス / ポリエチレングリコール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、培養が困難な魚介類ウイルスの分離・培養に使用できる細胞を細胞融合によって作出することを目的とし、融合条件の検討と培養ができないウイルスとしてアユの異型細胞性鰓病ウイルスPaPVを例として培養が可能となるか検討した。 平成30年度では、ポリエチレングリコール(PEG)で融合した細胞だけを選択できるように、5-bromodeoxyuridine (BUdR)に耐性化させたウナギ由来EO細胞を作出、ウナギ白血球との細胞融合を行った。融合細胞の選択のため、マウスのハイブリドーマ選択と同様な手順で、アミノプテリンによる選択を行ったが、耐性化EO細胞自体が死滅しないため、細胞融合後の選別が困難であった。マスノスケ胚細胞であるCHSE-214では、8-azaguanin(8-AZ)の耐性化細胞が得られた。しかし、この耐性細胞でもEO細胞同様にアミノプテリンにより死滅はせず、融合細胞だけの選別が困難であった。当初目的としたアユ鰭由来AYF157-2細胞の8-AZの耐性化は、0.25 μg/mLから進まず、耐性化はできなかった。今後、これらの細胞の高度な薬剤耐性化を進め、アミノプテリンによる選択が可能か、引き続き試験する。融合後の細胞の顕微鏡観察からEO-2細胞では、PEGの処理は25℃、1分間で十分であると推測された。このように、薬剤選別がうまく機能するようになれば、細胞融合により魚類の新たな細胞株は作出可能と考えられ、魚類ウイルス培養に新たな道を拓くものと期待される。 さらに、PaPVの培養を可能とするため、アユ鰭由来AYF157-2細胞と病魚鰓の磨砕ろ液をPEG処理によりウイルス粒子を細胞に取り込ませる実験を行ったところ、強い細胞毒性が出現し、ウイルスの増殖は認められなかった。融合させるウイルスを精製することで毒性を軽減できる可能性があり、さらに検討を行う。
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