2018 Fiscal Year Research-status Report
地球温暖化広域モニタリングに向けたイチョウの年輪形成の気候応答性の解明
Project/Area Number |
17K19299
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
高田 克彦 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (50264099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安江 恒 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00324236)
雉子谷 佳男 宮崎大学, 農学部, 教授 (10295199)
船田 良 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20192734)
高部 圭司 京都大学, 農学研究科, 教授 (70183449)
佐野 雄三 北海道大学, 農学研究院, 教授 (90226043)
工藤 佳世 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 研究員 (10757983)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | イチョウ / 形成層 / 葉フェノロジー / 気候応答 / 年輪解析 / 地球温暖化 / モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
裸子植物として独自の進化を遂げてきたイチョウ(Ginkgo Biloba)を対象に、現存する針葉樹および広葉樹には認められない形成層活動および木部細胞構造の特異性を明らかにするとともに、イチョウを利用した新たな地球温暖化広域モニタリング手法の構築を目的として研究を行った。 平成30年度は8月29日(水)に東京において全参画研究者が参加して研究打ち合わせミーティングを開催した。研究打ち合わせミーティングでは、事前に配布した資料に基づいて昨年度の研究成果について意見交換を行い、今年度の研究方針を討議した。 平成30年3月第4週から15週にわたって札幌(北海道大学)、秋田(秋田県立大学)、東京(東京農工大学)、長野(信州大学)及び宮崎(宮崎大学)の5ヶ所に生育しているイチョウ成木を対象に、各地域における形成層の活動開始時期を特定するするとともに夏至前後の年輪形成状況を把握するために形成層を含む木片のサンプリングおよび葉の形態の経時的変化を観察・記録した。また、3月の第4週から前述の個体を対象に形成層の活動開始時期を特定するために同様のサンプリングと葉の形態の経時的変化の観察を再開し、現在も継続中である。サンプリングした形成層を含む木片は固定液(グルタルアルデヒド或いは30%エタノール)中に保存後、随時、秋田県立大学・木材高度加工研究所および京都大学に送付して、薄切片試料を作成して形成層の活動を観察した。 その結果、イチョウの形成層活動は針葉樹や広葉樹のそれとは異なり、特に夏至前後の成長特性に樹種特徴を有することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に予定していた研究は全て順調に実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(令和元年度)は、平成29年3月から行っている形成層活動の開始時期の特定するための一連の実験を継続するとともに、夏至(6月22日前後)の前後5週間に打ち抜き法による形成層を含む木片のサンプリングを行い、形成層活動および木材細胞の形態変化を観察する。また、前年と同様に形成層の活動停止時期にあたる10月から複数週にわたりサンプリングおよび葉の形態観察を実施する。実験対象個体等の実験手法は前年と同様である。 なお、前年度に得られた知見を統合する目的で6月中旬に京都大学において研究代表者である高田と研究分担者の高部による研究推進会議を実施するとともに、8月下旬(或いは9月上旬」)に全参画研究者による研究推進会議を開催して、新たに得られた知見の共有を行うとともに、10月に予定されている科学研究費補助金への申請内容に関する討議を行う。 また、平成31年3月に開催が予定されている第70回日本木材学会大会において研究成果の一部を発表するとともに、研究成果の国際学術専門誌へ投稿を行う。
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Causes of Carryover |
形成層観察用の切片作成に一部遅れを生じたことから、その経費の使用を断念した。遅れている切片作成及び形成層観察は平成31年度(令和元年度)に実施することとする。 国際学術専門誌への投稿に係る英文校閲料および投稿費の支出を予定していたが、投稿論文の作成が遅延したため英文校閲および投稿を断念した。国際学術専門誌への投稿は平成31年度(令和元年度)に実施することとする。
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