2017 Fiscal Year Research-status Report
スペックルパターンの分離・抽出・識別によるプラントアクティビティの提案
Project/Area Number |
17K19309
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
福島 崇志 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (00452227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長菅 輝義 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80515677)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | レーザスペックル / 植物生理情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
最新の栽培技術において,高品質・高収量生産を目指すには,光合成活性,蒸散量,病気予察など植物生理・生体情報の取得が不可欠である.しかしながら,植物生理情報の取得に関して一般の農家が利用できるような安価・簡易な装置は現状ない.また,光合成活性や蒸散量などそれぞれ単一の指標のみでは環境変化に対する植物応答を説明するのは難しく,複数の指標から総合的に説明付ける必要があるが,前述のように植物生理情報を総合的に把握する現場対応型のシステムは存在しない.そこで,複数の植物応答を総合的に評価できる指標を提案することで,栽培の高度化・効率化に資する指針提供やデータ収集におけるコスト面で大きなメリットが得られる. 本研究では,植物組織内および細胞内で発生する複数の植物応答を把握できるスペックル画像から,現象個別の特徴を分離・抽出し,新たな植物生理指標の創出を目指している. はじめにスペックル変動として現れる植物体内での動態現象を対象に,その特性とレーザ光色との関係を明らかにする.異なる波長の光源下において,細胞内の動態を顕微鏡により観察した.通常の原形質流動により細胞内で葉緑体運動が観察された.この速度が従前の研究で植物由来の変動として示唆されているスペックル変動の低周波成分と関係があることが確認された.これにより,細胞内の流動現象がスペックル変動要因の一つであることが示唆された.ただし,本年度は十分な観察結果が得られたわけではなく,一部の光源において,細胞内動態は観察されなかった.そのため,今後は実験方法の改善を行い,継続してスペックル要因解明のための細胞内動態観察を実施する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
植物細胞内の観察の実施を進めてきた.当初光源に考えていた複数光色を照射するレーザカップリング装置を特注したが,採択結果が7月であったことから,その納品が申請時の予定よりも大幅に遅れた.そのため,細胞観察時期も同様に遅れたため,実験試料が時季外れとなり,思うような細胞観察結果を十分には得られなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては,前年度の細胞観察を継続して実施する.加えて,細胞内の流動現象をスケールアップした際にどのようなスペックル変動として現れるのか,明らかにすることで,マクロな視点でとらえたスペックル変動の特徴量抽出の足掛かりとなる. また,植物生理情報の定量化に向け,スペックル変動に埋もれる特徴量を抽出・選定する.レーザスペックルでの一般的な輝度値の変動を用いた解析方法に加え,スペックルパターンの空間周波数解析,各画素輝度値の周波数解析や機械学習による識別など複数の解析方法を試行し,ストレス応答に対するスペックル変動特徴量を決定する.
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Causes of Carryover |
(理由):研究実施状況でも記述した通り,採択時期が遅かったことから29年度実施内容に遅れが生じたため,次年度に経費を引き継いた. (使用計画):装置は当該年度後半に納入されており,29年度に不足した実験を継続して30年度に実施する.
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Research Products
(4 results)