2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study of airborne transmission of avian influenza virus using genome-edited cultured cells
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17K19319
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 晋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10636757)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / 受容体指向性 |
Outline of Annual Research Achievements |
A型鳥およびヒトインフルエンザウイルスは、それぞれ細胞表面糖鎖末端のα2,3またはα2,6結合したシアル酸が主な受容体とされる。鳥インフルエンザウイルスがヒトーヒト間で効率的に空気伝播するために重要なことはHAがヒト型レセプターを認識できるようになることである。つまりウイルスの受容体指向性はその宿主域を決定する重要な因子であるが、その解析法は特別なツールが必要であり、容易には解析できない。また従来の方法はウイルスと糖鎖の結合のみを解析しており、生物学的な違いは解析できなかった。 本年度は、これまでに作製したガラクトースとα2,3結合したシアル酸を末端に持つ糖鎖(Siaα2,3Gal)およびガラクトースとα2,6結合したシアル酸を末端に持つ糖鎖(Siaα2,6Gal)をノックアウトしたMDCK細胞(それぞれヒト型細胞、鳥型細胞とする)をインフルエンザウイルスの受容体指向性解析に応用できるか検討した。ヒト由来季節性インフルエンザウイルスはヒト型細胞でよく増殖した一方鳥型細胞での増殖性は低かった。また鳥由来インフルエンザウイルスはヒト型細胞での増殖性は低く、鳥型細胞でよく増殖した。さらにヒト型あるいは鳥型糖鎖に対するヒト由来および鳥由来ウイルスの結合性を、人工合成シアロを用いた結合試験で解析したところ、ウイルスの増殖性と結合性が相関していることがわかった。本研究により、鳥とヒトウイルス間に見られる受容体指向性の違いが確認され、株に依存し変化する許容性も示唆された。本研究で作製したノックアウト細胞は、ウイルスの受容体指向性の解析に有用なツールとなる。
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