2017 Fiscal Year Research-status Report
Culture system of bovine uterine gland for establishment of elongtion of bovine conceptus in vitro
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17K19322
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 康二 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (50355070)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | ウシ / 子宮腺 / 胚伸長 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度において、ウシ子宮腺をある程度形態を保持したまま子宮内膜組織から採取し、体外培養系を構築すること、およびこれまでの細胞系(シャーレー上の平面培養)と比較して子宮腺分泌タンパク質の遺伝子発現および細胞の頂底極性について検討を行った。ウシの発情周期中の各ステージ(発情前後、黄体形成期、黄体最盛期、黄体衰退期)の子宮内膜を採取し、物理的破砕および酵素的消化により長径数百マイクロメーターの子宮腺構造物を回収することが可能となった。またこれをコラーゲンまたはマトリゲル内に包埋し1週間以上培養することが出来た。ゲル内培養によるウシ子宮腺は培養の進行に伴い、その内腔に分泌液を貯留することが確認され、培養開始数日でcyst状に変化した。しかしながらこのcystは培養開始1週間以後は直径の増加が認められず、細胞の増殖も見られなかった。 次にこのcyst状になったウシ子宮腺を回収し、固定した。対照区としてウシ子宮腺細胞をプラスティックシャーレー上で平面培養した細胞を用いた。それぞれを包埋・切片作製後HE染色を行い、細胞の形態を観察した。対照区のウシ子宮腺上皮細胞は子宮内膜組織内での子宮腺上皮細胞と比べてその形状は大きく異なり、非常に扁平で頂底極性の存在は確認出来なかった。一方、ゲル内で培養しcyst状になった子宮腺上皮細胞の形状は立方体状または円柱状であり、対照区と比べて立体的な細胞形態を示していたが、体内における子宮腺上皮細胞と比べるとその頂底極性の度合いは小さいと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度中にあらゆる方法で培養した子宮腺細胞の分泌タンパク質の遺伝子発現の差異について検討を加える計画であったが、実験条件の設定がうまく行かず、その部分が未達であり当初の予定よりも計画が遅れてしまっている。次年度において解決し、研究の加速を計る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究結果から、子宮腺ゲル内包埋培養法により、平面培養よりも頂底極性が維持できる子宮腺細胞が得られたが、体内の状態と比べると劣る結果となっているため引き続き培養系の改良(成長因子の付加)を実施する。また子宮腺細胞が分泌するタンパク質の遺伝子発現についてもその定量系の確立を目指す。 また、子宮腺細胞の分泌機能は卵巣由来のステロイドホルモンにより制御されている。本実験ではウシ発情周期の各ステージ(発情前期・中期・後期)のホルモンプロファイルを模したステロイドホルモンを添加して①の2つの培養法で培養した子宮腺細胞の遺伝子発現と実際に各発情ステージのウシの子宮内膜から回収した子宮腺細胞の分泌タンパク質の遺伝子発現を比較することにより、体外培養子宮腺細胞がin vivoと同等の能力を有するかいなかについて検討を行う。また、体外培養子宮腺細胞が分泌した分泌液を回収し、その中のタンパク質発現についても同時に解析を行う。
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