2018 Fiscal Year Annual Research Report
The development of prevention and treatemnt methods of fertilization failure from mice model
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17K19324
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島田 昌之 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (20314742)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 精子 / 受精卵 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内および卵管内における精子への免疫応答について,そのセンシングメカニズムをTLR2とTLR4に着眼し解析し,さらに母体の免疫応答による子宮内の炎症抑制機構についてINFτをマーカーとして解明を試みた.その結果,精子は子宮上皮細胞に発現するTLR2とTLR4依存的に認識され,それにより発現・分泌されるサイトカイン類により白血球が刺激されることで貪食されることが示された.しかし,この免疫応答は一過的であり,炎症抑制環境において,受精卵が到達すると受精卵が発現・分泌するIFNτの作用で免疫寛容状態へと移行し,それにより着床が成立するという精子および受精卵への経時的な免疫応答が明らかとなった. この直ちに炎症が抑制される仕組みと精液成分との関係についても,精液に含まれるエクソゾームの作用の解析から,エクソゾーム内のマイクロRNAが炎症抑制のキーファクターであることも示した. さらに,卵管内で抗原となる精子数を少なくすること,その少数精子が効率よく受精する仕組みも解析し,受精時に一過的に卵管粘液中で濃度上昇するグルコースとクレアチンが,精子の機能維持に必須なことも明らかとした.この成果から,微少数精子の体外受精系を構築し,ブタ人工授精の希釈液への応用も実施した.この精子生存メカニズムでは,精子尾部の嫌気的解糖系と中編部のミトコンドリアによる呼吸代謝のバランスが重要であり,後者はミトコンドリア内におけるミトコンドリアDNA由来の遺伝子発現と翻訳による持続的な電子伝達系酵素の新規合成に依存していることも解明した.
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