2018 Fiscal Year Research-status Report
imaging of whole cell by super resolution method
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17K19343
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 秀男 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90165093)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 超解像 / 金ナノ粒子 / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋ミオシンフィラメントとアクチン線維が相互作用するさい、共同的な運動が観察されている。そこで、金ナノ粒子(直径40nm)にアビジンを結合し、一方ミオシン分子のライトチェーンにはビオチンを結合した。そして骨格筋ミオシンフィラメントに顕微鏡の分解能以内に位置するミオシン2~3分子に金ナノ粒子を結合し、高速カメラで、金ナノ粒子を高速でイメージングを行った。分解能以内にある複数の金粒子の位置を解析するために、上田正仁研で開発されたMulti-Emitters Localization 法を用いて、各ミオシン分子(粒子)の変位に分離することに成功し、アクチンと相互作用時の各分子の動態を0.1msの高時間分解能で計測することに成功した。各分子はアクチンとの相互作用時において大きく変位することが明らかとなった。また分子間の動きが同調している様子も観察された。しかし金ナノ粒子同士が近づいた場合、その散乱像が互いに干渉し合う可能性があるため、レーザー照明方法や解析方法の工夫が必要である可能性がわかってきた。 蛍光微小管の超解像イメージングをImage-Jに2017年にPlug-Inされた強度ベクトルの向きから蛍光の位置を決定する超解像法を用いて、細胞内の微小管の超解像イメージングを行った。ヒト乳がん細胞KPL4にtubulin-GFPを発現した細胞を用いて、微小管の蛍光画像を1frame/sの速度で、60枚撮影し、強度ベクトル法を用いて、超解像の解析を行った。その結果、共焦点顕微鏡では、分離不可能な複数本の微小管であっても、分離することができ、分解能がおおよそ2倍に改良された。この方法を用いて、微小管上を移動する小胞を検出することができた。微小管上を運動する小胞は、時折別の微小管に乗り換えることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、超解像法を生体試料イメージングに応用する予定であったので、その目的はほぼ達成された。上田正仁研で開発されたMulti-Emitters Localization 法を用いて、各ミオシン分子(粒子)の変位に分離することに成功し、アクチンと相互作用時の各分子の動態を0.1msの高時間分解能で計測することに成功した。各分子はアクチンとの相互作用時において大きく変位することが明らかとなった。このような、イメージングの成功とともに問題点も明らかとなった。それは、金粒子が超解像程度に近づくと、粒子間の相互作用によって、光が干渉を受けることである。この問題を解決するために2方向からの励起を行う予定である。また、細胞内の超解像イメージングとして、ベクトル法を用いた結果、微小管が超解像に解像できていることが明らかとなった。また、超解像と小胞輸送を組み合わせてイメージングすることができ、微小管と小胞運動との関係を明らかにできたことは、予想以上の進展である。今後ベクトル法で、ミオシン分子に結合した金粒子がイメージングできないか等討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内に量子ドットを大量に導入し、量子ドットの超解像イメージングを行う。そのために、MDA-MB-231細胞を一度飢餓にして(FBSの入っていないDMEM培地)、その後、高濃度の量子ドットをendocytosisさせることで、細胞内に取りこませる。飢餓にすることで、大量の量子ドットを細胞取りこませ、量子ドットが近接し顕微鏡の分解能の範囲内にあり、超解像法を用いないと解析できない状態を作り、蛍光イメージングを行う。これと同時に、細胞内の微小管GFPのイメージングも行う。得られた量子ドットおよび微小管の画像に対して、ベクトル法を用いて超解像画像解析を行い、量子ドットおよび微小管の位置関係を解析する。さらに、動画から、量子ドットが移動する際に、微小管上を移動するか解析を行う。 ミオシンフィラメントに複数の金ナノ粒子を結合し、ベクトル法やその他の超解像方法で、近接した微粒子の位置を独立に測定できる方法を確立する。そして、ミオシンが、共同的に動いていることを実証する。
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Causes of Carryover |
平成30年7月にがん細胞に高濃度の量子ドット導入を試みたところ、当初の予想に反して、高度濃の量子ドットが細胞内に導入できないことが判明し、導入条件を改良する必要が生じた。8月以降導入法を改良して、11月に細胞を飢餓状態にすることで、導入効率を高めることができた。この改良により計画が4か月遅れ、期間延長が必要となった。期間延長に伴って、細胞培養液、量子ドット等の消耗品の購入を次年度必要となった。 研究費の使用計画は、細胞に関連した、細胞培養液、量子ドットの購入、ミオシンの実験に伴ってナノ計測装置、光学部品の購入、そして、成果発表として学会出張費および論文投稿費である。
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