2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K19348
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 朋子 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (90615535)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 染色体構造構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の染色体分配においては、染色体が紡錘体微小管によって正確に捕捉されなければならない。これを実現するためには、全ての染色体が紡錘体微小管によって捕捉可能な範囲内に存在する仕組みが必要である。とくに動物卵母細胞のような巨大な細胞において、この仕組みの存在は染色体分配に極めて重要である。本研究では、ツメガエル卵無細胞系において、アクチンにも微小管にも依存しない染色体の自律的な集合機構の分子的実体を解明することを目指す。初年度は、アフリカツメガエル無細胞系を用いて、染色体自己集合活性候補因子の同定を試みた。予備的な実験から、ツメガエル卵抽出液中には、アクチン重合にも微小管重合にも依存しない染色体集合活性が存在する一方、特殊な遠心条件下で得られた卵抽出液画分にはその活性が存在しないことが分かっている。この活性の分子的実体を明らかにするため、自己集合活性をもつ卵抽出液と活性を持たない卵抽出液中にそれぞれ精子核クロマチンを添加し、インキュベーション後クロマチンを回収して、その結合タンパク質を質量分析により解析した。その結果、それぞれの条件下におけるいくつかの染色体結合因子に差異が存在することが明らかになった。過去にも報告があるように、メジャーなクロマチン構成因子であるヒストンや、染色体凝縮に必須のコンデンシン複合体の結合量はいずれの条件下においても差異は認められなかったが、それ以外に、いくつかの因子に結合量の差異が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画していた、それぞれの条件下における染色体結合因子の質量分析を完了し、候補因子をリストアップすることができたため、おおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、初年度に同定した候補因子の染色体自己集合における機能を解析する。活性に重要な因子が同定されれば、それらの因子が体細胞においてどのような役割を果たすのか、ヒト体細胞をもちいて解析を行う。また、タンパク質性因子のみならず、RNAや脂質などについても活性の有無について検討を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品の消費量が少なくすみ、予想よりも物品費を安く抑えることができた。また、適当な技術補佐員を早期にみつけることができず、人件費が使われなかったが、次年度から雇用予定である。
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