2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of thermo-adaptive evolution strategy by genome network analysis of thermo-adapted E. coli
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17K19360
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
岸本 利彦 東邦大学, 理学部, 教授 (90339200)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 高温適応進化 / 大腸菌 / ゲノム解析 / RNA解析 / ゲノムネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は下記の研究を実施し、その成果を得た。 1.高温適応進化大腸菌の構築 2系統の大腸菌高温適応進化を継続実施し、2系統とも47.9℃への完全適応(適応度:>0.35 1/h)に成功した。現在も48.0℃への適応を実施している。 2.高温適応進化大腸菌の解析 2017年度にゲノム解析を行った、高温適応進化系統1の大腸菌のうち47.3℃適応株、46.0℃適応株、高温適応進化系統2の大腸菌のうち47.4℃適応株、46.0℃適応株、およびそれぞれの先祖株であるAnc株、について15℃~50℃の増殖特性、細胞内タンパク質の熱安定性を解析した。その結果、両系統で46℃以上の高温への適応度上昇が見られ、増殖最適温度は、1系統 43~44℃、2系統 43~45℃ となっていた。2系統に関しては、43~45℃の適応度に有意差が無くなっており、ほぼ高温菌への進化ができていることが示唆された。また、15~20℃の低温では、高温適応に伴い適応度の低下が確認され、トレードオフが起こっていることが確認された。細胞内タンパク質の解析の結果、1系統においては、適応温度上昇に伴うGroEL発現亢進が見られ、系統2においては、適応温度上昇により細胞内タンパク質の熱安定性の上昇がみられ、系統毎に高温への適応様式が異なる可能性が示唆された。 3.高温適応進化大腸菌の遺伝子解析 2017年度にゲノム解析した結果に関して、変異解析、GC含量、アミノ酸解析などを行い、2系統で全く異なる変異が導入されたが、アミノ酸レベルでは同じ傾向の変化を示すこと、GC含量は高温適応進化に伴い低下する傾向があることを確認した。上述のゲノム解析完了株について、最高適応温度でのRNAを回収し、次世代シークエンサーによるRNAseq解析を外注した。現在解析結果の報告待ちの状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全ての計画がほぼ予定通りに進み、新しい知見も複数得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
高温適応進化を継続し、純粋な進化のみによる高温菌への進化をめざす。2系統の高温適応進化戦略の共通点と相違点を解析し、高温適応に必須のメカニズム抽出を行う。熱安定性の向上したタンパク質を解析・同定する。ゲノム変異解析、RNAseqによる発現解析結果を用いた高温適応ゲノムネットワークの解析を行う。高温適応特異的なネットワーク構造が同定できれば、既存の高温菌との比較解析を検討する。
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Causes of Carryover |
外注解析が次年度にずれ込んだことと、消耗品の発注がずれたことなどが大きな要因であり、最終年度には計画全ての実施とそれに伴う年度内経費処理を行う。
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Research Products
(1 results)