2018 Fiscal Year Research-status Report
細菌における細胞内共生の人工再構築と初期生命研究への応用
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17K19365
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
柿澤 茂行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10588669)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 細菌 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミニマムゲノム細菌とは、細菌のゲノムを極限まで縮小させ、必須遺伝子(ノックアウトすると生存できなくなる遺伝子)もしくは準必須遺伝子(ノックアウトすると生育が極めて悪くなる遺伝子)のみを持たせた細菌のことであり、マイコプラズマという小さな細菌を元にして作成され報告された。本研究は、このミニマムゲノム細菌における細胞内共生現象に端を発し、この細胞内共生の性状およびメカニズムを解明することを目的とする。また、細胞内共生現象は初期生命の進化過程において頻繁に起こっていたであろうと推測され、加えてミニマムゲノム細菌と初期生命とはいくつかの類似した性質があるという視点から、ミニマムゲノム細菌を初期生命のモデル細胞として提案し、ゲノム縮小により進化をさかのぼった解析が可能であることを提案する。 本年度は、ミニマムゲノム細菌において発現させ光る蛍光タンパク質の検討を行った。その結果、mCherry, Venus, Ceruleanなどが強く光ることが確認できた。そのうち、mCherryとCeruleanは蛍光の観察が容易であること、マイコプラズマ内における発現量が比較的高かったことなどから、この2種類を用いることとした。それぞれの蛍光タンパク質遺伝子を発現させた菌株を作成し、観察したところ、綺麗にオーバーラップせずに観察できることが分かった。その後、通常サイズの小さな細胞にはCeruleanを、大きな細胞にはmCherryを発現させた状態で、2種類の細胞を混合して細胞内共生が起こるかどうか確認したところ、現象が認められたため、その状態を詳細に観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はミニマムゲノム細菌において発現させ光る蛍光タンパク質の検討を行い、いくつかの蛍光タンパク質を決定することができ、またそれらを発現させた菌体を得て、細胞内共生の現象を詳細に確認することが出来た。そのため、おおむね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに詳細な解析のため、他の細菌を共生させる系を確立することや、共焦点レーザー顕微鏡を用いることで立体的な顕微鏡像を得る予定である。
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Causes of Carryover |
他の蛍光タンパク質マーカーを用いて解析することで、より精度の高い結果が得られる可能性が生じたため、追加でこれらの蛍光タンパク質の発現系の構築およびその顕微鏡観察等を行う必要性が生じた。
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