2018 Fiscal Year Annual Research Report
High-throughput analysis of embryo mechanical properties by atomic force microscopy
Project/Area Number |
17K19367
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡嶋 孝治 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (70280998)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 生物物理 / 細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
受精卵の胚形成のメカニズムの理解には、細胞の力学特性(メカニクス)の解明が不可欠である。細胞メカニクスは張力と弾性率に大別される。発生胚の張力の直接測定はなされてきたが、弾性率の測定は測定法の欠如により皆無であった。本研究では、初期発生胚全領域の細胞レオロジー計測が可能な原子間力顕微鏡(AFM)システムの開発を目的とする。前年度に開発したAFM計測法を用いて計測した初期発生胚の静的弾性率(ヤング率)をより詳しく調べるために、1細胞期から112細胞期までの一連の細胞期の静的弾性率を1細胞レベルで追跡した。そして、先行研究の細胞骨格構造との関係を調べた。その結果、静的弾性率の時間発展の再現性の存在を詳細に確認した。そして、先行研究との比較から、静的弾性率の変化が細胞骨格構造の変化と密接に関係していることが示唆された。細胞は弾性と粘性とを合わせ持つ粘弾性体である。初期発生胚においても粘性のダイナミクスを理解することは重要であるが、その計測法は確立していない。また、1細胞レベルで発生胚の粘性を計測した研究は皆無である。そこで、本研究で開発したAFM装置を改良して発生胚の粘性を測定するシステムを開発した。本改良AFM装置は、発生胚のような大きなサンプルの応力緩和特性を1細胞レベルの空間分解能で計測することができる。実際、卵割過程の初期発生胚の応力緩和特性のマッピング測定に成功し、卵割過程において、弾性だけでなく粘性も顕著に変化していることを見つけた。このように本研究において、生きた発生胚の粘弾性の時空間分布を1細胞レベルで計測することに成功した。さらに、本研究では、弾性と粘性の力学量を定量化することにも成功した。従って、本研究により、様々な発生胚の力学特性の計測に応用できる新しいAFM技術が確立した。また、物理的および科学的な入力に対する力学応答を調べることも可能になると期待される。
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Research Products
(4 results)