2019 Fiscal Year Research-status Report
Embryonic cell culture for molecular studies of hemipteran diffused kinetochores
Project/Area Number |
17K19376
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
二橋 美瑞子 (長内美瑞子) 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (00422402)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | 動原体 / カメムシ / 昆虫 / 進化 / 細胞分裂 / 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
動原体は真核生物の染色体に必須な構造の一つであり、細胞分裂の際、複製した染色体を娘細胞に引っ張る紡錘糸が結合するタンパク質複合体である。多くの真核生物は動原体が染色体の一か所にある局在型動原体を持つが、一部の真核生物は、動原体が染色体の全体にわたって形成される『分散型動原体』を持つ。分散型動原体は、染色体の切断への耐性や、近縁種間での染色体数の多様化にも影響していると考えられている。分散型動原体は、線虫、一部の植物や昆虫に存在するものの、その分子機構は線虫以外の生物では未解明な点が多い。昆虫ではトンボ目、ハサミムシ目、カメムシ目、チョウ目が互いに独立に分散型動原体を獲得したと推定されるが、機能解析はチョウ目でしか行われていない。 本研究では、分散型動原体を持つ昆虫の中でも多くの典型的な動原体遺伝子が検出されず、全身性RNAiが効くホソヘリカメムシ(カメムシ目昆虫)に着目し、培養細胞の樹立と、動原体遺伝子の機能解析系の構築およびチョウ目昆虫の分散型動原体の組成と機能の比較を目指している。 2019年度は、再現よくホソヘリカメムシ由来の細胞の初代培養が可能なステージと培地組成を見出すことに成功した。F-ara-Eduを用いて、培養細胞におけるde novo DNA合成も確認できた。 さらに、ホソヘリカメムシの複数のステージで動原体遺伝子の機能阻害を行ったところ、成長阻害や精子形成、胚の有糸分裂の異常が検出された。不完全変態昆虫における動原体遺伝子の機能解析としては初めてである。個体レベルの機能解析の報告例はモデル生物でも少ないことからも、大変意義深い。 並行して、ホソヘリカメムシとは分散型動原体獲得の起源が異なるカイコについて、比較対象とするために培養細胞を用いて動原体遺伝子の局在解析とRNAi解析を行い、動原体遺伝子の局在やリクルート機構について新規の知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再現よくホソヘリカメムシ由来の細胞の初代培養が可能なステージと培地組成を見出すことに成功し、不完全変態昆虫としてははじめてホソヘリカメムシの個体で、動原体遺伝子の機能阻害を行い、複数のステージ、組織で細胞分裂異常を検出する実験系を構築できた。 さらに、カメムシとは分散型動原体獲得の起源が異なるカイコについて、比較対象とするために培養細胞を用いて動原体遺伝子の局在解析とRNAi解析を行い、動原体遺伝子の局在やリクルート機構について新規の知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
ホソヘリカメムシ胚由来の初代培養細胞に関しては、細胞をシート状に培養する条件の検討、RNAiに加えてCRISPR-CAS9を用いた遺伝子機能解析および使用可能なプロモーターの単離を試みる。 ホソヘリカメムシ個体の動原体遺伝子の機能解析に関しては、胚の細胞骨格染色を併用した分裂異常が起きたステージのより詳細な判別、未着手遺伝子の機能解析を行い、結果をまとめて論文を投稿する。動原体遺伝子の抗体作製と免疫染色については、早く進んだ場合は論文に追加する。免疫沈降を用いたほかの動原体遺伝子構成要素の単離や、セントロメア配列の決定も進める。
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Causes of Carryover |
手動のインジェクション装置を利用できたため、電動インジェクター購入を延期した。カメムシの飼育に必要な消耗品やエサ、細胞培養に必要な培地や試薬、遺伝子機能解析実験系構築に必要な試薬、動原体遺伝子の抗体作製用の組換えタンパク質の発現精製、抗体作製受託サービス、免疫染色用試薬、論文投稿費用に充当する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Book] カイコの科学2020
Author(s)
日本蚕糸学会[編]
Total Pages
224
Publisher
朝倉書店
ISBN
978-4-254-42043-2