2017 Fiscal Year Research-status Report
Study on gravity response that determines plant architecture.
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17K19388
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森田 美代 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10314535)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 重力屈性 / 傾斜屈性 |
Outline of Annual Research Achievements |
重力屈性において、重力感受細胞で発現し冗長的に機能する4つのDLLsファミリー遺伝子が重力方向に応じたオーキシン輸送を促進する。これら遺伝子の機能が全て失われた場合、微小重力環境下と同様に、側枝は水平に、側根は寒天培地上でランダムな方向に伸長すると予想されたが、側枝は下方に、主根、側根は上方に伸長し、重力に対する応答の方向が逆転するという興味深い表現型を示した。この結果から、重力屈性とは逆の方向に器官を伸長させようとする抗重力屈性とでも言える反応が、DLLs依存的な重力屈性と共存しており、これらのバランスが各器官のGSAを決定するという仮説を立て、GSA制御分子機構の理解を目指している。 1.抗重力屈性の性質を調べる。 dlls四重変異体の側根及び側枝の伸長方向が逆転するという表現型が、「重力屈性がない状況で抗重力屈性成分が顕在化した」状態であると仮定し、抗重力屈性の発動に重力刺激を必要とするかを検証している。dlls四重変異体の側根や主根について3Dクリノスタット上での伸長方向を調べた。地上部重力感受細胞欠損変異を交配によりdlls三重変異体に導入し、変異体の準備を完了した。 2.抗重力屈性に関与する遺伝子を探索する。 突然変異体の単離: dge2 dtl dll3三重変異体の根は、垂直に立てた培地上で上方(GSA=180°)に向かって伸長する。dge2 dtl dll3三重変異体にEMS処理を行って、さらに変異を導入し、根のGSAを減少させる変異体のスクリーニングを進行中である。 重力感受細胞のトランスクリプトームに基づいた関与遺伝子の探索:DLLsと同時にを見出されたSLY2について、重力屈性との関連性を調べるために、野生型背景に35Sプロモーター制御下で過剰発現を行い、側枝の角度が水平に近づく表原型を示す系統を複数得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.抗重力屈性の性質を調べる:生理学的解析は概ね計画通り進んでいる。重力感受細胞形成不全変異体との多重変異体の作成は予想より早く完了し、H30年度には表現型の定量的解析を行うことができる。 2.抗重力屈性に関与する遺伝子を探索する:dge2 dtl dll3三重変異体の種子約5000粒に変異源処理を施したM2種子の準備が完了し、予定通り現在抑圧変異体のスクリーニングを進めている。 重力感受細胞のトランスクリプトームに基づいた関与遺伝子の探索:SLY2過剰発現の側枝GSAに及ぼす影響を確定できた。現在、SLY2のGSA制御における機能を調べる準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.抗重力屈性の性質を調べる dlls四重変異体の側枝について現有の3Dクリノスタット上での伸長方向を調べるには、植物体のサイズが大き過ぎたため、1Dクリノスタットでの解析を行うこととする。またこれまでに作成したeal1 dlls, sgr1 dlls, pgm dllsを用いて、側枝、側根、主根の伸長角度を測定する。これらの結果から、dlls四重変異体の側根及び側枝の伸長方向が逆転するという表現型に重力刺激を必要とするかについて、結論を出す。 2.抗重力屈性に関与する遺伝子を探索する。 突然変異体の単離: dge2 dtl dll3三重変異体の根の表現型を抑圧する変異体を単離し、原因遺伝子の特定を目指してゲノムシーケンスを行う。また、dge1 dge2 dtl三重変異体に変異を導入し、側枝のGSAを増加させる変異体の選抜を行う。 重力感受細胞のトランスクリプトームに基づいた関与遺伝子の探索:DLLsと同時にを見出されたSLY2について、重力屈性との関連性を調べる。GA添加実験等の生理学的解析を進めるとともに、発現解析を行う。感受細胞でのSLY2発現量を調節できる形質転換体を作成し、重力感受細胞内でのSLY2の機能が側枝のGSA制御に及ぼす影響を調べる。
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Causes of Carryover |
実験補助員の雇用が遅れたため、人件費が予算額より大幅に抑えられた。補助員がいない間の作業は、代表者と学生及び大学院生で滞りなく進めた。 H30年度は、計画通り実験補助員を雇用する予定である。
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