2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of vascular time-info-sharing
Project/Area Number |
17K19392
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
遠藤 求 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (80551499)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | シロイヌナズナ / 概日時計 / カリウム |
Outline of Annual Research Achievements |
栄養素の取り込みが概日時計によって制御されており、それらの栄養素は光や温度と同様に概日リズムに影響を与えることに着目し本研究を開始した。根の概日時計の働きによって道管内では栄養素の周期的な濃度変化が生じ、これが根の時間情報として葉へと伝えられている可能性が考えられたことから、本研究では、様々な栄養素を植物に投与した際に起こる概日リズムの変化を葉と根で独立に測定することを通じて、シグナル伝達物質として機能する栄養素の同定、および、こうした時間情報の伝達が持つ生物学的意義の解明を目的に以下の研究を行った。 (1)根から吸収されたAHA1は地上部の概日周期の安定性を制御する 根にカリウムを投与する実験やカリウムを欠乏させた培地での生育実験から、根でのカリウムシグナルは地上部の概日周期を不安定化することを明らかにした。この分子メカニズム関わる因子を同定するため、AHA1に着目し解析したところaha1変異体では根におけるカリウムの取り込みリズムが消失していること、またカリウムだけでなくカルシウムやマグネシウムといった陽イオンの取り込みも消失していることを明らかにした。 (2)こうした地上部における概日周期の安定化が持つ生物学的意義を明らかにするため、糖シグナリングに着目した。カリウムイオンは様々な応答プロセスに関わるが、その一つに光合成への影響が知られている。また糖は概日リズムを生み出すと共に地上部から根へ時間情報を伝える物質であると想定されている。根または地上部に糖を投与すると概日周期の安定性に影響が現れることを確認した。 以上より、根からAHA1を介して取り込まれたカリウムならびにカルシウム、マグネシウムといったイオンは地上部へと輸送されることで根の持つ時間情報を地上部へと伝え、またそれによって安定化された概日時計によって生み出された糖が根へと時間情報を伝えていることを明らかにした。
|