2017 Fiscal Year Research-status Report
新規スクリーニング法の開発による、中枢神経構成細胞の量的比率の決定機構の解明
Project/Area Number |
17K19399
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
笹井 紀明 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 准教授 (80391960)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 神経管 / ニワトリ胚 / ウズラ胚 / サイズ決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体の各器官は多くの種類の細胞が一定の量比で存在し、それが個体の大きさに合ったサイズで存在している。本研究の目的は中枢神経系の発生をモデルとして、器官内にある様々な性質の神経細胞が、正確な量的比率をもった特定のサイズに成長する制御機構を解明することである。サイズ決定因子を同定するために、サイズの違う2種類の近縁動物(ニワトリとウズラ)の胚の神経管の発生をモデルとして扱うこととし、これらの間に存在する細胞の増殖または分化の効率の違いを明らかにして、その上流制御系を同定することを目指している。 平成29年度は、両動物胚の神経管の発生段階における各領域の細胞数、神経管サイズや胚全体のサイズの変遷を詳細に解析した。様々な発生ステージに成長した胚から神経管の断面を薄切切片として作成し、領域ごとに神経前駆細胞または神経細胞の個数やパターン、神経管断面の形態を解析した。その結果、ニワトリ胚、ウズラ胚の両者は胚発生の一時期までは細胞の増殖効率が変化せず、また神経管断面の形やサイズも変化しなかった。その一方、胚発生の一時期を過ぎると、細胞1つ1つの大きさはほぼ一定に保たれているものの、神経管のサイズが変化し、断面全体に存在する細胞数も異なることが明らかになった。しかし各領域の細胞数の相似関係は神経管発生の全体を通して維持されていることが明らかになった。 また、この違いが出始める時期に発現する遺伝子の発現量を調べたところ、ニワトリ胚、ウズラ胚で発現量が異なる遺伝子が複数同定できた。現在これらの強制発現やノックダウンにより、細胞の増殖や分化に対する影響を観察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サイズが異なる2種類の鳥類(ニワトリ胚、ウズラ胚)の神経前駆細胞の増殖・分化効率について、領域ごとに詳細なプロファイリングを行うことができ、サイズが変化し始める時期を同定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ニワトリ胚とウズラ胚でサイズが変化し始める時期に発現が変化し始める遺伝子を単離し、その解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初はmRNAシーケンスによる網羅的解析を予定していたが、候補遺伝子の一部がin situハイブリダイゼーションや抗体染色で同定できたため、その解析を優先させることにした。候補遺伝子に取りこぼしがないことを確認する目的で、平成30年度に当初予定の網羅的解析を行う予定にしている。
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