2018 Fiscal Year Research-status Report
新規スクリーニング法の開発による、中枢神経構成細胞の量的比率の決定機構の解明
Project/Area Number |
17K19399
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
笹井 紀明 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (80391960)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 神経管 / 前駆細胞 / サイズ決定 / ニワトリ胚 / ウズラ胚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、異なる大きさの神経管において、その内部に存在する各サブタイプが一定の相似比をもって存在するメカニズムを明らかにしようというものである。2018年度は、ニワトリ胚とウズラ胚を用い、神経管に発現する多数の遺伝子について、定量PCRを用いて発現量を比較し、領域特異的に発現し、なおかつ種間で発現量が異なるような遺伝子を単離した。その結果、サイクリン関連因子や転写因子などが両種間で発現量が異なりながら発現領域は一致して入ることが明らかになった。さらに、その発現量のその強制発現や機能阻害実験を行い、両種間で発現量が異なることが、サイズの違いに対応することを証明することができた。 しかし、これらの因子は細胞増殖や分化の制御という点では下流に位置する制御因子であり、上流制御システムが存在する可能性が高い。そこで網羅的遺伝子解析を進め、候補遺伝子を網羅的・体系的に多数単離することにより、最上流の遺伝子を解析することとした。したがって事業年度を延長することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種特異的な前駆細胞の増殖と分化の比率の違いを定量的に解析し、さらにサイズ決定の違いを担う遺伝子の候補の1つを単離して解析した。この遺伝子には上流制御因子が存在する可能性があるため、それを同定する解析を残しているが、全体としては順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
網羅的遺伝子発現解析を用いて種によって発現が異なる遺伝子を単離し、発現領域の同定を行うほか、発現強制発現、機能喪失実験を行うことにより、目的の上流制御遺伝子を明らかにする。さらに、サイズが異なる神経管においても神経前駆細胞の各サブタイプの細胞数がスケーリングの法則を保持するメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
種特異的なサイズ制御因子を単離するという当初の目的は達成することができた。しかし、その上流制御系が存在する可能性が高い。そこで、網羅的遺伝子発現解析を用いることによりその上流制御系を含めて体系的に解析することにより、サイズ制御系の本質に迫れる可能性が高い。そこで、その制御系の解析、さらに論文投稿料を2019年度に執行することとした。
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