2017 Fiscal Year Research-status Report
有尾両生類の再生原理を用いたニワトリ胚四肢再生の実現
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17K19400
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 伸 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 准教授 (90512004)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 四肢再生 / ニワトリ |
Outline of Annual Research Achievements |
9.研究実績の概要 ニワトリ胚の四肢(肢芽)の再生に挑戦する。これまでの研究で、有尾両生類(イモリ・メキシコサラマンダー)において四肢と言う「器官」の再生反応を誘導する遺伝子(再生誘導物質)の特定に成功した(Makanae et al., Dev. Biol. 2013, 2014)。この再生誘導物質(FGF2+FGF8+BMP7)は、複数の動物種と器官において再生を誘導できることも判明した(Makanae et al., Dev. Biol. 2014, 2016, Satoh et al., 2015, Regeneration)。この両生類研究で明らかにした再生誘導因子をニワトリ胚に応用し、ニワトリ胚における再生反応を誘導する試みを提案する。予備的実験結果において、同定した再生誘導因子(FGF+BMP)はニワトリ胚においても損傷・切断部において何らかの構造を誘導できることがわかった。この得られた再生体がどのような意味を持つのかを分子マーカーで評価する。得られた情報を有尾両生類の再生時における発現パターンと比較することによって、哺乳類を含む恒温動物における四肢再生反応誘導への基盤的知見を得ることを目的にする。本年度特に進展した研究内容は、申請書の研究項目2で、「ニワトリ肢芽におけるインターカレーション反応の誘導」に関する項目である。ニワトリの肢芽をおよそ3等分にし中抜きの状況にすると、通常状態では抜かれた中間部構造を決して再生されない。ここにFGF2+8を与えることで中間部構造の再生芽誘導できることを証明した。また、このプロセスにおける遺伝子発現の変遷や細胞系譜を描くことで論文としてまとめ報告した。その他項目についても鋭意解析中であり、予想以上の進展を見せていると言える状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記のとおり、すでに研究成果を論文としてまとめることができている。その他項目に関しても順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目2に関しては終了とする。研究項目1と3に関して誠意研究を展開してゆく。研究項目1に関してはHoxa13の発現を指標とし、その発現を切断後に行かに誘導するかがカギとなる。これまでの研究ではFGFはHoxa13に対してプラスの作用を持ち、BMPシグナリングはマイナスの作用を有することが見えてきた。したがってFGFシグナリングの活性化を足場に、Hoxa13の再活性化に向けて研究展開を図る。これまでのイモリの研究で明らかになりつつある再生特異的な遺伝子のダイナミクスを参照し、そこからHoxa13の活性化に関するシグナリングカスケードを洗い出すことで、ニワトリでのHoxa13の活性化に大きなヒントが得られるものと確信している。このHoxa13の再活性化とすでに報告済みの中間部構造の再生方式を合わせることでより完全な四肢再生が可能になるものとしんじて、研究に挑戦する。
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Causes of Carryover |
ニワトリの卵の調達先が秋~冬季に一時的に数を出せなくなったため実験の都合上遅れが生じたことに起因する。
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Research Products
(1 results)