2017 Fiscal Year Research-status Report
多角協働研究に基づくバイオ画像情報処理のメタモデル構築
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17K19402
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内田 誠一 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (70315125)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | バイオイメージ・インフォマティクス / 機械学習 / 画像情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物学では,顕微鏡等によるイメージング結果に対し,目視での主観的判断ではなく,画像解析による客観的定量化が必須になってきている.しかし,生物学者が主体的・自主的に画像解析を実施するのは容易でない.これに対し本研究では「バイオ画像情報処理メタモデル」と呼ぶソフトウエアの構築を目的とする.同モデルは,解析目的を達成するために必要な画像処理技術とそれらの組合せ方に関する知識の集合体である. H29年度は,10件程度のバイオイメージ・インフォマティク協働研究を進めながら画像解析ニーズとそこで利用される画像処理のノウハウを蓄積すると共に,メタモデル構成の第一ステップとして,バイオ画像情報処理メタモデルの基本ネットワークを実現した.このネットワークの各ノードは,二値化やエッジ抽出のような,単機能画像処理モジュールである.具体的には,各モジュールはいわゆるConv-Deconv型のディープニューラルネットワークであり,原画像を入力信号とし,期待する処理後の画像を教師信号として与えることで,その画像処理を模倣するように学習される.H29年度の試みにより,二値化,エッジ抽出,超解像といった典型的な画像処理がこうしたモジュールとして実現できるだけでなく,特定対象の隠蔽・拡大,特定対象検出,対象形状変換といった従来型の(例えばフィルタベースの)画像処理では困難だった高度な処理も実現できることがわかった.さらにこれらのモジュールを直列的につなげたパイプライン(メタモデルの最も初等的なもの)も実現した.一方で,例えば画素レベルの領域分割など,大量の正解付きデータの入手が困難なケースには,データ拡張やpre-trainingなどの手法を援用したとしても,モジュールとして期待する性能には限界があることも確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一は,生物学研究者と合計10件程度のバイオイメージ・インフォマティクス協働研究を進めた点である.これら複数の協働研究の中で,どのような画像情報処理タスクが存在し,その解決のためにどのような画像処理モジュールが必要になるかといった,「バイオ画像情報処理メタモデル」の目標が明確化されている.特に,実際にモジュールとして実現すべき二値化や対象検出,領域分割については,具体的にどのような対象があり,どのように処理すべきかの知見を得た. 第二は,バイオ画像情報処理メタモデルのモジュールとなる「画像を入力すると画像を出力する」タイプ(Conv-Deconv型)のディープニューラルネットワークを複数構築し,それらの性能を確認する実験を行った点である.具体的には,二値化やエッジ検出,超解像といった基本的な画像処理に加え,対象隠蔽・拡大や形状変換なども実現可能であることを実験的に検証している. 第三は,これらモジュールを組み合わせて,すなわち独立に学習されたConv-Deconv型ニューラルネットワークをカスケード接続することで,シンプルながらもメタモデルの基本形を実現できた点である.
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Strategy for Future Research Activity |
二年目であり最終年度でもあるH30年度は,前年度実現したモジュールをネットワーク的に組み合わせることで,本格的なバイオ画像情報処理メタモデルを構築し,それをスタートとしたfine-tuningを行うことで,比較的少数の追加学習用サンプルで,様々なバイオ画像情報処理を実現する.その際,モジュール間の接続部がどのように学習されているかについても,綿密な観察を行う.さらに,いわゆるDistillation (蒸留)技術を利用することで,大規模なメタモデルのコンパクト化を試みる.すなわち,学習後のメタモデルの(新たな学習パターンを用いることなく)無駄な部分をなくすことで,メタモデル全体の軽量化を図る.
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Causes of Carryover |
H29年度はバイオ画像情報処理メタモデルの個別モジュールの個別構築に重点を置いたので,研究室現有の計算機でも,基本動作確認などの実験を実行できた.またそれらモジュールをカスケード接続した初期メタモデルも,比較的小規模であったため,現有計算機で実行できた.なお,翌年度(H30年度)分の計画(より多くのモジュールからなる大規模なメタモデルの構築)を前倒しして実施すべく,大規模計算用ワークステーションの購入も試みたが,年度末に全世界的な品薄状態が発生し,所望の形式の購入は断念した.当該計算機はH30年度初頭に購入する予定である.
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Research Products
(14 results)
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[Presentation] Scene Text Eraser2017
Author(s)
Toshiki Nakamura, Anna Zhu, Keiji Yanai and Seiichi Uchida
Organizer
The 14th International Conference on Document Analysis and Recognition
Int'l Joint Research
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