2017 Fiscal Year Research-status Report
Shuttle of proteins between mitochondria and the ER
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17K19406
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
多賀谷 光男 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (30179569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若菜 裕一 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (90635187)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 小胞体 / ミトコンドリア / 膜タンパク質 / オートファジー / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリアの分裂やオートファジーに関与するsyntaxin 17(Stx17)は、栄養条件においてはミトコンドリアおよび小胞体―ミトコンドリア接触部位(MAM)の膜上に存在する。一方、飢餓状態になると、Stx17はオートファゴソーム膜上へと移行し、オートファゴソームとリソソームの融合を触媒する。飢餓誘導と同時に、タプシガルギン処理で小胞体からカルシウムを流出させると、Stx17はオートファゴソームへと移行できず、小胞体内でパッチ状に会合した局在を示す。この現象は、ミトコンドリアに局在していたStx17が、一度小胞体へと飛び移った後にオートファゴソームへと移行している可能性、すなわち膜タンパク質がオルガネラ間を飛び移っている可能性を示している。その可能性を検証するために本年度は以下の実験を行なった。 先ず、シトクロムb5(Cb5)の局在を観察した。Cb5は、通常ミトコンドリアに局在しているが(おそらくMAMには局在していない)、飢餓誘導に伴いオートファゴソームに移行する。飢餓誘導とタプシガルギン処理を行うと、Cb5の一部はStx17と同様に小胞体内でパッチ状の構造として観察された。一方、ミトコンドリア外膜に局在するマーカータンパク質の局在には変化が見られなかった。次に、Cb5のオートファゴソームへの移行に、小胞体―ミトコンドリアの連結が必要かどうかをマイトフュージン2(Mfn2)の発現抑制を行って検証した(Mfn2は小胞体とミトコンドリアの繋留に関与)。Mfn2を発現抑制した細胞に飢餓誘導とタプシガルギン処理を行ったところ、コントロール細胞とは異なり、Stx17とCb5は小胞体上でパッチ状に会合せず、ミトコンドリアに留まった。この結果は、ミトコンドリアから小胞体へのタンパク質の飛び移りには両者の繋留が必要であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は実験の調整等に問題があり、研究はやや遅れている。来年度は人的配置も含めて問題点を克服して研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は以下の実験を計画していた。(1)Cb5 の「飛び移り」の証明。(2)「飛び移り」に必要なCb5 の膜アンカー構造の同定。(3)Cb5 以外の「飛び移り」を起こしているミトコンドリアタンパク質の網羅的な同定。(4)ミトコンドリアと小胞体の近接の必要性。(5)「飛び移り中間体」の単離。(6)「飛び移り」のために必要な脂質組成の検討。今年度は(1)と(4)を達成できたので、残りの実験を進める。
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