2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive analysis of mouse germ line using genetic barcoding
Project/Area Number |
17K19413
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
吉田 松生 基礎生物学研究所, 生殖細胞研究部門, 教授 (60294138)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 細胞・組織 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新規技術である遺伝子バーコーディング法を用いて、マウス生殖細胞系譜の変遷の全体像を解明することを目的としている。具体的には、発生期生殖細胞一つ一つのゲノムに異なる塩基配列のバリエーション(バーコード)を導入し、次世代シーケンサーを用いてその運命を網羅的に追跡することを目ざした。 30年度は、29年度に引き続き、精巣に含まれるバーコード領域を増幅した産物を次世代シーケンサーを用いて解析、バーコードを解読した。その結果、生殖細胞において計画通りバーコード配列が生成され、細胞系譜解析が可能であることが確認された。しかし、以上の初期実験の結果、当初用いたマウス系統では以下のようなリークが生じるため、理想的な実験条件が得られないことが明らかとなった。まず、生殖細胞以外の細胞にも軽度ながらバーコードが導入された。また、薬剤(タモキシフェン)を投与しない場合にもバーコードの導入が観察された。このマウス系統は、他の実験系では十分な特異性と薬剤依存性を発揮する実績があることから、これはバーコーディングに特有の、当初想定できなかった問題である。観察されたリークは軽度であったものの統計的解析の精度を著しく低下させるため、根本的な対策として、新規のトランスジェニックマウス系統を作出した。この系統を用いて解析した結果、上記の2つの問題が解決されたことを示唆する結果が得られた。最終的な判断はシーケンシングによってバーコードを解読することなどを待たねばならないが、本研究に必要な条件を満たすことができた可能性が高いと考えている。以上、当初計画にあったバーコード解析に至らなかったものの、様々な条件でバーコーディングを導入・解析し、生殖細胞系譜の動態を定量的に解析する基盤を、本挑戦的研究によって整えることができた。
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