2017 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of subsurface microbial electrosphere
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17K19435
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
石井 俊一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海底資源研究開発センター, 研究員 (10556913)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 電気微生物 / 地下電気生命圏 / 掘削コア / 微生物電気合成 / 菌体外電子輸送 / 電極還元菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球上には膨大な数の微生物が存在しており、そのかなりの部分が海洋地下圏や土壌地下圏に生息していると考えられている。地下環境中には、酸素の替わりに地下圏に大量に存在する金属酸化物(鉄)に電子を移送して呼吸する固体鉄還元微生物が広範に存在する事が知られている。また、大地に常に流れている微弱な地電流などの電気エネルギーは、地下圏における微生物の生命活動を支える主たるエネルギー源である可能性も出てきた。そこで本研究では、海洋研究開発機構の保有する多種多様な掘削コア等に含まれる地下圏微生物群を用い、地下圏における「固体に電子を供与し呼吸する微生物」や「電気をエネルギー源とする微生物」の存在の有無を明らかにし、地下圏に存在する電気に依存する生命圏の探索に挑戦する。 まず、地下圏における電気に依存する微生物の動態を知るため、地下圏に存在する微生物群を微生物電気化学リアクターに供し、電気を使った培養を行った。リアクター中には炭素織布で作成した電極を二枚封入し、その電極間に600mVの電圧を印加し、流れる電流値をモニタリングした。地下圏微生物の播種源として、下北沖掘削コア(海底下2000mの石炭層)、海底の蛇紋岩海山の掘削コア、そして南関東ガス田において地下600mから湧出する天然ガス田かん水を用いた。その結果、天然ガス田かん水に電圧を印加したものは良好な電流産生が見られ、電気に依存して生きる微生物バイオフィルムが両電極に形成された。下北沖掘削コアのものもバイオフィルムの形成は見られたが、電流産生は小さく、電気に依存している微生物は少量であると考えられた。蛇紋岩海山の掘削コアからは電流産生が見られず、電気に依存している微生物反応は起こっていないと考えられた。また、電極では無く、導電性ナノ粒子を介した電子授受の促進テストを行うため、マグネタイトのナノ粒子を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【1】電気化学リアクターによる電気微生物の集積培養 各地下圏微生物群集を、1槽式電気化学リアクター(容量400 mL)に播種し、600mVの電圧を印加した培養を行い、各電極への電子をやり取りする微生物の集積培養を行った。有機物添加や気相ガス組成などは、各コアの環境条件を模倣して決定し、発生する電流値をモニターすることで、電気活性のある微生物の増殖の有無を確認した。 【2】磁鉄鉱を介した電気共生の確立 各地下圏微生物群集を、導電性の磁鉄鉱(Magnetite)と共に培養を行うため、磁鉄鉱のナノ粒子の作成を行った。このナノ粒子は、磁石を用いて取り出す事が可能である事を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
【3】16S rRNAを用いた微生物群集構造解析 【4】メタオミクスを用いた電子輸送機序の解析 地下圏における電気エネルギーに依存する微生物の種類、および電子輸送に関連する遺伝子を同定するために16S rRNAを用いた群集構造解析とメタオミクス解析を並列的に行う予定である。上記の集積培養系からDNA・RNAの抽出作業をスタートしており、H30年度は、そのシーケンス作業を逐次進めていく予定である。得られたデータより、電気活性の高い微生物のゲノム情報を作成し、そこにコードされる機能遺伝子を同定した後、菌体外との電子授受のメカニズムを解析してゆく予定である。
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Causes of Carryover |
RNA抽出作業の遅れにより、H29年度に予定していたシーケンス関連の研究をH30年度の早い段階で行うように変更したため、次年度使用額が生じた。H30年度の比較的早い段階で、シーケンス関連試薬、消耗品等に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)