2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K19449
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久場 博司 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362469)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 聴覚 / 音源定位 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳には感覚情報に基づいた様々な空間地図が存在する.しかしながら,聴覚の空間地図が,哺乳類の聴覚伝導路のどこで,どのように形成されるのかは未だ明らかでない.これは,聴覚神経核の多くが脳深部にあり,多細胞Caイメージングが困難であったことが主な原因である.従って本課題では,近年進歩の著しい神経内視鏡技術を齧歯類の聴覚伝導路の神経核に適用し,Ca感受性の緑色蛍光蛋白質(GCaMP6)を用いた多細胞Caイメージングを行うことにより哺乳類の聴覚地図の実体を明らかにすることを目的としている. 本年度は,GCaMP6を聴覚伝導路の神経細胞に導入するために,Synapsinプロモーター下にGCaMP6を発現するベクター(Syn GCaMP6)を作成した.続いて,このベクターを培養神経細胞に導入し,高カリウム溶液による刺激を行うことで,その挙動を検証した.次に,in vivoでの遺伝子導入法の検討を行った.まず,ガラス電極を用いて脳定位的にベクターの圧投与を行い,さらにタングステン電極を用いて電気刺激を与えることで電気穿孔法による聴覚神経細胞への導入を試みた.電極径,圧強度,持続時間を調節することで注入条件を検討するとともに,電気刺激の強度,持続時間,刺激間隔,刺激数などの条件を変化させることで導入効率の向上を試みた.しかしながら,いずれの条件においても導入効率は低く,今後はタングステン電極を絶縁することで刺激効率を改善することを検討している.また,ガラス電極に50 um径のタングステン線を挿入したものを用いて,ベクターの局所注入と電気刺激を同時に行うことも試みる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電気穿孔法による脳局所の神経細胞への遺伝子導入法の確立に時間を要しているため。ベクターの注入には問題がないため、今後は電気刺激の効率改善に注力する。具体的には、電極の絶縁について条件検討を行うと同時に、ウイルスを用いた遺伝子導入も用いる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
電気穿孔法を改善するとともに、ウイルスベクターも同時に用いることで、確実に遺伝子導入を行う。さらに、GRINレンズによるイメージングについても開始する。具体的には、GRINレンズ埋め込み7-14日後からin vivoの多細胞Caイメージングを行う.麻酔下に両耳にセットしたイアホンから音提示を行い,細胞のCa応答を神経内視鏡により記録する.まず,同一視野にいる個々の神経細胞の特徴周波数を決定した後,左右の入力音のITDを変化させることでITD応答特性を明らかにし,さらに各細胞の位置関係や活動相関の解析を行う.
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Causes of Carryover |
Ca感受性蛋白質を発現させるウイルスベクターの設計に時間を要したため、未使用額が生じた。今後、ベクターの作成や動作検証に必要な試薬の購入に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)