2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mechanisms for regulating gene expression underlying social defeat stress-induced microglial activation
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17K19457
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古屋敷 智之 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20362478)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 薬理学 / 神経科学 / ストレス / ミクログリア / エピゲノム制御 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病など精神疾患の発症には遺伝因子に加え環境因子が関わる。近年、組織恒常性破綻が自然免疫分子を介し炎症を惹起することが示唆されている。研究代表者らは、マウスの社会挫折ストレスを用い、反復ストレスが自然免疫分子を介して内側前頭前皮質(mPFC)のミクログリアを活性化し、炎症関連分子を介し抑うつ行動を誘導することを示した。これらの長期的な脳機能変化には転写・エピゲノム制御の関与が示唆されている。そこで、本研究では、反復ストレスによるmPFCミクログリア活性化、神経細胞の機能・形態変化、抑うつ行動を担う転写・エピゲノム制御因子を同定し、これらの因子の段階的な活性化機構を解明し、エピゲノム変化との関係も示す。以上の方法により、反復ストレスによるミクログリアの長期的な機能変化を担う遺伝子発現制御ネットワークを解明し、ストレスが関わる精神疾患の新たな創薬標的を提言する。 本年度は、前年度までに同定した反復ストレス後のmPFCミクログリアと自然免疫分子刺激後の初代培養ミクログリアで共通して発現変化した転写因子を初代培養ミクログリアで過剰発現し、当該転写因子が初代培養ミクログリアでのサイトカイン・ケモカインの発現を制御することを見出した。さらに、前年度に学外研究機関との共同研究で確立した特定脳領域の少数細胞のエピゲノム解析技術を用い、反復ストレスによるmPFCのミクログリアのエピゲノム変化について網羅的データを取得し、このエピゲノム変化に濃縮する転写因子結合配列や近傍に存在する遺伝子の特性を調べた。今後は、本研究で調べてきた転写・エピゲノム制御を端緒に、反復ストレスによるmPFCのミクログリアの活性化・増強を担う分子機序をさらに解明するとともに、同様の研究手法をミクログリア以外の細胞にも適用して、反復ストレスによる神経・グリア細胞での転写・エピゲノム変化の包括的理解を目指したい。
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Research Products
(33 results)