2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel strategies to improve brain diseases including psychiatric and anxiety-related disorders and addiction by targeting and manipulating hippocampus-dependent memory
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17K19464
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
喜田 聡 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (80301547)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 記憶 / 海馬 / 神経新生 / PTSD / トラウマ / 薬物依存 / 精神疾患 / 恐怖記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスにおける社会的敗北ストレス課題では、攻撃性の高いマウス(攻撃マウス)に繰り返し攻撃を受けることで、攻撃マウスに対する社会回避行動のみならず、慢性的な不安行動の亢進をも引き起こす。そこで、この社会的敗北ストレス課題をPTSDモデルとして、社会的敗北ストレス誘導性のPTSD症状に対する神経新生促進の効果を検討した。C57BL/6雄マウスをICR雄マウスのホームケージに1日10分間、 10日間連続して入れ、ICRマウス(攻撃マウス)からの攻撃を連日受けさせた。その結果、ストレス処置マウスには対照群に比較してICRマウスに対する顕著な忌避行動が観察され、攻撃マウスに対する社会回避記憶が観察された。さらに、高架式ゼロ迷路課題において、ストレス処置マウスは、ストレス誘導性の不安行動、すなわち、PTSD様症状を示すことが確認された。その後、1ヶ月間のメマンチン(MEM)処理により、神経新生を促進した結果、MEM投与群では攻撃マウスに対する忌避行動の減少と、不安行動の軽減が観察された。従って、MEM投与が、攻撃マウスに対する社会回避記憶の忘却のみならず、ストレス誘導性の不安行動も改善することが示唆された。一方、社会的敗北ストレスを受けていないマウスにMEM投与を行っても、不安行動の変化は観察されなかったことから、この神経新生促進の不安行動軽減作用は、ストレス誘導性の不安行動特異的であることが示唆された。以上より、海馬神経新生亢進による忘却促進により、トラウマ体験を原因とするPTSDの精神症状までもが改善され得る可能性が示された。 さらに、初期応答遺伝子発現を指標にして、社会的敗北ストレスを受けた後に活性化される脳部位の検索、また、依存症モデルを開発するために場所嗜好条件づけ課題の条件検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会敗北ストレス課題を用いて、海馬神経新生亢進による忘却促進により、トラウマ体験を原因とするPTSD様精神症状までもが改善されるなど、期待された成果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
社会的敗北ストレス課題を用いて、海馬ニューロンを特異的に活性制御し、その影響を解析する。さらに、初期応答遺伝子発現を指標にして、社会的敗北ストレスを受けた後に活性化される脳部位の検索を重点的に行い、トラウマエングラムの観点からPTSD改善方法を模索することを重点的に試みる。
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Research Products
(38 results)