2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K19466
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
緑川 光春 東京女子医科大学, 医学部, 准講師 (60632643)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | シナプス / 開口放出 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類中枢シナプスでは、直径約40 nmのシナプス小胞に内包された神経伝達物質が、刺激から1 ms以内で開口放出によってシナプス間隙へと放出される。その小ささ、速さ故に、シナプス小胞1個1個の動態、およびその基盤となる分子メカニズムを実測することは困難であった。個々のシナプス小胞の小ささと神経終末における高密度の集積は従来の光学的顕微鏡で扱える解像限界を超えており、蛍光タンパク質の出現による分子イメージング技術の飛躍的な発展以降もその適用は限定的である。 本研究課題は全反射蛍光顕微鏡を用いて、単一シナプス小胞の開口放出と蛍光標識した開口放出関連タンパク質とを同時ライブイメージングによって測定し、中枢神経でシナプス小胞が開口放出を起こす際に開口放出関連タンパク質がその直下でどのような動態を示すのかを明らかにすることを目的とした研究である。中枢シナプスにおける超高速開口放出の分子基盤を解明するためには、やはり実際の中枢神経を標本として研究するのが最適であるが、申請者は本研究課題の遂行が可能な標本として海馬苔状繊維終末を当初計画していたが、この標本を用いた単一シナプス小胞の開口放出を可視化することに成功し、論文として投稿・掲載された。さらに現在比較対象としてシナプス特性が異なるシナプス前終末を模索し、小脳の苔状繊維終末においても単一シナプス小胞の開口放出の可視化に成功しつつある。さらに視床体性感覚野の中継細胞に対する内側毛帯繊維終末から直接電気的に開口放出を測定することを可能にしつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
開口放出と分子動態を同時に測定できる標本として海馬の苔状繊維終末におけるイメージングの確立を目標として掲げていたが、ここからの単一シナプス小胞の開口放出の可視化、およびその動態に影響を与える分子基盤を明らかにし、Neuron誌に論文を掲載することができた。また、分子操作が可能であるシナプス前終末として海馬苔状繊維終末に続いて小脳の苔状繊維終末からの開口放出の可視化にも成功しつつあり、概ね順調に計画が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
海馬苔状繊維終末における開口放出と関連タンパク質の同時イメージングに挑戦しつづけるとともに、比較対象として小脳の苔状繊維終末からの単一シナプス小胞の開口放出の可視化も進める。さらに、脳スライス標本を用いた実験ではあるが視床体性感覚野の中継細胞に対する内側毛帯繊維終末からの直接記録も可能になりつつあるので、これらの標本を用いて開口放出部位と関連タンパク質の可視化の方法を確立していく。
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Causes of Carryover |
申請者の所属が変更になり、研究環境が変化したために当初の購入予定を変更した。次年度に電気生理およびイメージングの設備を整えるために使用する予定である。
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Research Products
(3 results)