2017 Fiscal Year Research-status Report
Generation of tRNA neurobiology
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17K19468
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 元雅 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (40321781)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | tRNA / 翻訳 / リボソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
不安や恐怖などの精神機能には、神経細胞での新規なタンパク質合成が深く関わることが示唆されている。そのタンパク質合成、つまり翻訳の過程において、遺伝情報を担うのはmRNAであるが、実際にタンパク質を作り出すための部品となるのはtRNAであり、tRNAは翻訳に中心的な役割を果たす。これまでmRNAの翻訳解析は多くなされてきているものの、神経細胞において、tRNAの量や質が神経活動に依存して、どのように変化し、どのようなtRNAが実際の翻訳に使われているのかは、技術的な問題もあり、詳細は不明である。また、tRNAには多くの修飾が存在しているが、その修飾の場所や量を定量的かつ網羅的に調べるツールは現在、存在しない。そこで本研究では、新たなtRNA塩基配列技術およびバイオインフォマティクスのツール開発を通して、tRNAに焦点を絞った遺伝子発現解析と翻訳解析を行い、それを通じて精神機能を明らかにする。今年度は、生きたマウスを用いて、脳領域・神経細胞特異的にtRNAの遺伝子発現や実際の翻訳に使われているtRNAを調べるための様々な実験手法を新たに開発した。さらに、tRNAの種類や量を定量的に調べるための、様々な独自のバイオインフォマティクスのツールの開発に着手し、それによって、次世代シーケンサーで配列を読まれたtRNAをより正確に解析し、tRNAの発現量、翻訳使用率や各種修飾を網羅的に決定することができた。これらの実験手法やバイオインフォマティクスのツールは今後の研究に威力を発揮すると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いてtRNAの解析を行うための実験手法の確立やバイオインフォマティクスに関する多くのツールを新規に開発できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度に作成した実験系およびバイオインフォマティクスのツールで、必要な技術の開発をほぼ確立させることができた。そこで、行動解析後のマウスを用いて、脳領域・神経細胞特異的なtRNAの解析を行う。また、培養神経細胞でも、様々な遺伝子や環境の変化に伴うtRNAの翻訳解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
H29年度はこれまでに困難とされていたtRNA配列を定量的に解析するために、バイオインフォマティクスのツール開発にやや重きを置いたため、当初の予定にくらべて次世代シーケンサーを用いた解析やそのためのライブラリー作成に要する試薬の購入の頻度が減ったために金額差が生じた。しかし、重要なバイオインフォマティクスのツールを開発できたため、H30年度はより実験に移行して、次世代シーケンサーを用いた解析やそのためのライブラリー作成に要する試薬の購入を行う予定である。
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