2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K19476
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 稔 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (70526839)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | アミロイドβ |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患は、アミロイドβ(Aβ)やαシヌクレインなどの疾患原因タンパク質が変性を経て不溶性凝集体を形成し、脳内に蓄積することにより発症する。本研究の最終目的は、細胞内に局在するAβを分解誘導するケミカルバイオロジー手法を確立すること、またAβやαシヌクレインなど細胞間伝播が報告されている神経変性疾患原因タンパク質を対象として、細胞内タンパク質量と神経細胞死の関係について考察することである。 我々は、アルツハイマー病診断薬とユビキチンリガーゼIAPのリガンドを連結した化合物が、ポリグルタミン病原因タンパク質を分解誘導することを報告している。この概念を発展させ、アルツハイマー病診断薬と疎水性タグを連結した化合物が、タンパク質の品質管理機構を人工利用し、神経変性疾患原因タンパク質を分解誘導すると期待した。この化合物を合成し、細胞内αシヌクレイン量を評価したところ、本連結化合物が生細胞中のαシヌクレイン量を減少させることを見出した。本成果を、他課題研究の成果と合わせて学会発表したところ、平成29年度日本薬学会医薬化学部会メディシナルケミストリーシンポジウム優秀賞を受賞した。 最終目的を達成するために、上記連結化合物の分解誘導活性を増強させることが急務である。そこで、本化合物の構造活性相関を検討した。最初に、凝集Aβに対して強い結合親和性を有する既知の診断薬を文献情報を参考に複数選択し、連結化合物の合成を進めた。また、ユビキチンリガーゼリガンド構造を変換した化合物を8種類合成した。タグタンパク質分解誘導活性を指標にするなど、この構造最適化を効率よく進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Aβ減少作用は未評価である。しかしながら、高濃度を必要とするものの、αシヌクレイン減少作用を示す化合物を創出することができた。また化合物合成に関しては、計画以上に多くの誘導体を合成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内に局在するAβを分解誘導するケミカルバイオロジー手法を確立すべく、細胞内Aβ量を評価できる生細胞系を構築し、上記化合物の有効性を確認する。 細胞間伝播モデルとして認知されている、細胞内外に不溶性凝集体が局在するモデルにおいて、細胞内凝集タンパク質の分解誘導活性と神経細胞死抑制活性を評価する。有望な化合物が創出できた際には、アルツハイマー病モデルマウスの神経細胞に化合物を処理し、細胞内Aβ量とその神経細胞死抑制作用を確認したい。 Aβやαシヌクレインの分解誘導活性を増強させるべく、化合物の構造展開を実施する。
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Research Products
(2 results)