2017 Fiscal Year Research-status Report
独自の統合失調症多発家系患者の単一神経細胞解析の基盤技術開発および分子病態研究
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17K19488
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (30240849)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 統合失調症 / 単細胞解析 / 患者神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、様々な細胞種が混在しているヒトiPS細胞由来の分化神経細胞から、興奮性神経細胞や様々な種類の抑制性神経細胞を、細胞種特異的にライブマーキングするシステムを構築することを目的としている。平成29年度は、様々な細胞種特異的なマーカータンパク質をコードする遺伝子のプロモーター領域と蛍光タンパク質Venusを用いることにより、細胞種特異的にVenusを発現することを可能にすると期待される組み換えレンチウイルスを作成した。ヒトiPS由来の分化神経細胞を用いて、その細胞種特異性を評価し、以下の結果を得た。 1) parvalubumin陽性介在神経細胞を特異的にマーキングすることを目的としてparvalubuminをコードする遺伝子のプロモーター領域により発現を支配されるVenusを発現する組み換えレンチウイルスをヒトiPS由来の分化神経細胞に感染させたところ、全神経細胞のうち、10%程度の細胞でVenusの発現が観察された。また、抗parvalubumin抗体を用いた免疫染色実験を実施したところ、Venus陽性細胞の大部分がparvalubumin陽性であることが明らかになった。単一のVenus陽性細胞をマイクロニードルを用いてピックアップし、parvalubuminの発現をRT-PCRを用いて調べたところ、Venus陰性細胞のものに比べ、その発現レベルは3倍程度高いことが明らかになった。 2) 興奮性神経細胞のマーカー遺伝子であるVGluT1、VGluT2、抑制性神経細胞のマーカー遺伝子であるGAD65やGAD67のプロモーター領域を用いて、parvalubuminと同様の実験を実施した。その結果、単一細胞の解析のためには、用いるプロモーター領域を改変する等の細胞種特異性の改良が必要である可能性があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画である①細胞種特異的プロモーターにより発現を支配されるVenusを発現する組み換えレンチウイルスの作製、および②iPS分化神経細胞を用いた単一細胞種のRNA発現解析をおおむね計画通りに実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した神経細胞種特異的ライブマーキング技術を改良し、細胞種特異性をさらに高めることにより、これまで達成されていないヒトiPS細胞由来分化神経細胞の細胞種特異的解析を実施する。また、開発した神経細胞種特異的ライブマーキング技術を用いて、統合失調症の分子病態を明らかにする研究を実施していく計画である。本研究の実施により、未解明の疾患の分子病態の解明のみならず、創薬研究に大きく貢献する成果が得られるものと期待される。
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Causes of Carryover |
平成29年度に、作製した組み換えレンチウイルスのVenusの発現の細胞種特異性を免疫染色実験およびRNA発現解析で確認する予定であったが、免疫染色実験の結果から、一部の組み換えレンチウイルスに関しては、コンストラクトを改良することが必要であることが明らかになり、RNA発現解析等を実施する計画を延期したため、未使用額が生じた。従って、計画を変更し、平成30年度にRNA発現解析を実施することとし、未使用額をその経費に充てることとしたい。
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[Journal Article] High-speed and scalable whole-brain imaging in rodents and primates.2017
Author(s)
Seiriki K, Kasai A, Hashimoto T, Schulze W, Niu M, Yamaguchi S, Nakazawa T, Inoue K, Uezono S, Takada M, Naka Y, Igarashi H, Tanuma M, Waschek JA, Ago Y, Tanaka KF, Hayata-Takano A, Nagayasu K, Shintani N, Hashimoto R, Kunii Y, Hino M, Matsumoto J, Yabe H, Nagai T, Fujita K, Matsuda T, Takuma K, Baba A, Hashimoto H.
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Journal Title
Neuron
Volume: 94
Pages: 1085-1100
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] POGZ, a recurrently mutated gene in patients with ASD, regulates the neuronal differentiation2017
Author(s)
Matsumura K, Nakazawa T, Nagayasu K, Miura H, Kasai A, Takuma K, Yamamori H, Yasuda Y, Hashimoto R, Hashimoto H
Organizer
第40回 日本神経科学大会
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[Presentation] Whole-brain mapping analysis of the NMDAR antagonist-induced neuronal activation.2017
Author(s)
Seiriki K, Kasai A, Hashimoto T, Kuwaki T, Niu M, Naka Y, Igarashi H, Nakazawa T, Yamaguchi S, Ago Y, Hashimoto H
Organizer
Neuroscience 2017, Annual Meeting of Society for Neuroscience, USA
Int'l Joint Research
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[Presentation] High-speed serial-sectioning imaging for whole brain analysis with high scalability.2017
Author(s)
Kasai A, Seiriki S, Hashimoto T, Niu M, Yamaguchi S, Naka Y, Igarashi H, Tanuma M, Nakazawa T, Inoue K-I, Takada M, Fujita K, Hashimoto H
Organizer
Neuroscience 2017, Annual Meeting of Society for Neuroscience, USA
Int'l Joint Research
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