2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mechano-transfection and mechano-sensing mechanism using a living tissue
Project/Area Number |
17K19496
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川上 茂 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (20322307)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麓 伸太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (70380988)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | メカノトランスフェクション / メカノセンサー分子 / 組織吸引圧法 / 組織透明化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに臓器特異的な遺伝子導入法として物理的刺激を組み合わせた組織押圧・吸引法を開発しており、生物医学や遺伝子治療における応用・発展が期待される。本研究では、物理的刺激による遺伝子導入法をメカノトランスフェクションと定義し、生体組織におけるメカノトランスフェクション細胞の特定ならびにメカノセンシング機構の解明を行う。まず腎臓及び肝臓への組織吸引圧法におけるメカノトランスフェクション細胞を組織透明化により評価した。腎臓において、組織透明化試薬としてCUBICによる分散性の評価により、腎皮質深部に相当する700マイクロメートルまでの深度まで遺伝子発現が検出された。また、生体膜保持可能なScale SQにより腎臓内構造と遺伝子発現の相対的な位置関係を評価したところ、予想に反して遺伝子発現は血管の外側にある間質領域で豊富に観察された。本結果を元に遺伝子発現細胞を免疫染色により確認したところ、大部分は線維芽細胞と一致し、また周皮細胞においても遺伝子発現に至ることを確認した。一方、肝臓において、CUBICによる遺伝子発現の臓器選択性の評価により、吸引した肝臓葉選択的な遺伝子発現が観察され、吸引部位付近において遺伝子発現が多く認められた。また、Scale SQによる透明化と膜染色による多色深部観察により肝臓内構造と遺伝子発現の相対的な位置関係を評価したところ、肝実質細胞で遺伝子発現する様子が観察された。 また、メカノセンシング機構の解明として、生体組織で応答する細胞膜や細胞骨格を構成するタンパク質をメカノセンサー分子と定義し、肝臓への組織吸引圧におけるメカノセンサー分子をプロテオーム解析により特定した。吸引1時間後の肝臓におけるタンパク発現変動をFD-LC-MS/MSにより評価したところ、ヘモグロビン鎖の上昇ならびに脂肪酸結合タンパクもしくは熱ショックタンパク質10の減少が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メカノトランスフェクションに関しては、組織透明化を用いて生体がん組織中の遺伝子送達・発現空間分布を明らかにすることができた。また、メカノセンサー分子の網羅的探索により、肝臓を吸引圧刺激後に反応するタンパク質を見出した。以上、ほぼ研究計画通りに順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は計画に従い、メカノトランスフェクションによる遺伝子発現制御化ならびにメカノセンシングの可視化と機構の解明に関する研究を実施する予定である。
|
Research Products
(8 results)