2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel cyclic peptides that detect molecular states of collagen in vitro and in vivo
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17K19502
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小出 隆規 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70322253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 寛之 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (50437240)
増田 亮 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (90632159)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | コラーゲン / ペプチド / イメージング / 薬物送達 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
主に環状ペプチドの分子設計とコラーゲンへのハイブリッド形成能およびペプチドの自己集合能との関連についてin vitroで検討した。 1)環状平行2量体ペプチドについて:①環状構造の重要性、②分岐・結束部位のリンカー構造、③ペプチド鎖長、④ペプチドの電荷、⑤立体構造の歪みをパラメータとして、構造‐活性相関研究を実施した。その結果、環状構造を持つものが、一本鎖および分岐鎖のペプチドよりも有用であることが示された。また、ペプチド鎖への負電荷導入が分子設計上有用であることも分かった。また、コラーゲンへのハイブリ能は、ペプチド自己集合物の変性温度と密接なかかわりを持っていることが明らかになり、今後のさらなる分子設計に指針を与えるものとなった。加えて、適切に設計された環状平行2量体ペプチドは、市販の抗コラーゲン抗体に匹敵するコラーゲン検出力を有していることが示され、in vitroにおける変性コラーゲン検出試薬としてwestern blottingおよび培養細胞あるいは組織の蛍光染色に実用的であることが示された。さらにこのペプチドは、抗体では検出できない細胞内で構造形成の途上にあるプロコラーゲンを検出することができた。これらの結果について、1件の特許出願、2件の学会発表を行うとともに、現在原著論文を投稿中である。 2)環状1本鎖について:コラーゲン様配列を有するペプチドのhead-to-tail環化法を確立した。様々な長さの環状1本鎖ペプチドについてそのコラーゲンへのハイブリッド形成能および自己集合能を調べた。予想どおりこれらはすべてコラーゲンへのハイブリ能を有さなかったが、一定以上の鎖長では、環状であっても3重らせんを形成しながら自己集合しうることが示唆された。鎖内にMMPによる切断配列を導入することで、MMP高発現細胞周辺のコラーゲンの検出を試みたが、現状では成功していない。本項目で得られた成果については1件の学会報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環状平行2量体ペプチドの構造‐活性相関については順調に進行した。ペプチド鎖への電荷の導入に関しては、当初計画していたホモ2量体に加え、二つの鎖のアミノ酸配列が異なるヘテロ2量体についても検討した。導入する電荷としては負電荷の方がコラーゲンとのハイブリッド形成に有利であったことから、コラーゲン上のペプチド結合部位が正電荷を含んでいることが示唆された。様々な温度において、コラーゲンとのハイブリッド形成能とペプチド自己集合能を調べることによって、両者に強い正の相関があることが明らかになった。したがって、ペプチドの自己集合能を欠失させた上でコラーゲンへのハイブリ能のみをペプチドに付与することは困難であるが、使用する温度において最適なペプチドを設計するだけの化学的基盤はすでに得られた。In vitroでの変性コラーゲンの検出系として、western blotting, ELISAおよび免疫蛍光染色を検討した。いずれの系においても、最適化した環状平行2量体ペプチドは、抗コラーゲン抗体に匹敵するコラーゲン検出能を有しており、また既報1本鎖のコラーゲンハイブリダイズペプチドよりも約100倍強いアフィニティーを示した。 環状1本鎖ペプチドについては、主として化学合成法の最適化をおこなった。その結果、環化反応を変性条件において行うこと、およびアミド結合形成に先立って、末端に導入したシステイン残基間でジスルフィド結合により環化することが高収率な環化に重要であることが明らかになった。得られたコラーゲン様環状1本鎖ペプチドが、立体構造形成(自己集合)において、これまでに知られていない性質を有していることも示唆されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に得られた知見を基に、生体内でのコラーゲン検出に最適と思われる分子デザインのペプチドを数種に絞り込み、in vivoでの検討を本格化する。ここでは、より研究が進行している環状平行2量体ペプチドを用いた検討を優先して実施する。蛍光プローブを付加したペプチドを調製し、これを担がんマウスに経静脈投与したのち、IVISを用いた蛍光in vivoイメージングを実施する。がん組織へのペプチドの集積が有意であった場合には、複数のがん細胞種をもちいた同様の検討を実施することで、がんの悪性度とイメージングの結果との相関を調べる。また、放射性同位体標識したペプチドを調製し、これを用いて本ペプチドの体内動態を詳細に解析したうえで、体内の変性コラーゲンのPETによる描出についても検討する。さらに、環状平行2量体ペプチドと薬物とのコンジュゲートの分子設計を進め、新しいDDS担体としての本ペプチドの応用研究も進める。具体的には、マウスに移植した肺がんへの抗がん剤のターゲッティングおよび骨粗鬆症モデルマウスの骨組織への治療薬のターゲッティングについて検討を加える。この過程においては、新規な薬物候補物質が取得される可能性があるため、知財の保護についても適切にマネジメントしながら研究を推進する。
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Causes of Carryover |
ペプチドの構造‐活性相関研究が予定よりも順調に推移したため、試薬等消耗品使用額が計画よりも少額となった。これについては平成30年度のin vivo投与用ペプチドの大量合成および標識体の作成のための試薬代として使用する計画である。旅費については、分担研究者との研究打合せが予想よりも効率的に行われたため、打合せ出張旅費に残金が出た。これについては、分担研究者との情報交換をより密に実施する必要がある平成30年度に使用する計画である。
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Research Products
(5 results)